その八 幣
県都の中学*を出て高等学校*に進み、長期の休み
車夫:人力車を曳くことを生業とする者。
中学:旧制の中学校。中等教育機関で、五年制。現代の中学一年生から高校二年生に当たる年代の男子が通った。昭和初期の中学進学率は、一割程度と言われる。ちなみに、現代の大学進学率は五十パーセントを越えている。
高等学校:旧制の高等教育機関で、三年制。中学校を終えた男子が進学する。現代の高校より、むしろ大学に近い雰囲気。飲酒や喫煙も、一般には許容(黙認)されていた。大正時代の高等学校への進学率は、一パーセント程度とも言われ、大変なエリートである。
実家に帰って来た時の、鑛さんの姿と云ったら、
高等小学校:尋常小学校を卒業した者にさらなる初等教育を施した機関で、二年制。現代の中学一年生から二年生に相当する年代が通った。高等科。大正時代の高等小学校への進学率は、四割程度とも言われ、女子に限って言えば、二割程度とされる。地方の農村などでは、更に一層低い進学率だったと見積もられる。
何でも、
相変わらず、
鑛さん鑛さん、
翌朝――
連れ立って歩いていると、
何の事だかさっぱり分らない。そもそも、
あんたも
そうして、途中に大岩や大木を見附けると、
鳥居を過ぎて、小一時間も
ええか、大けな声を出したらあかんで、口の中で、泡がふつふつ
すると、突然に奥から、すぽんと勢い良く何かが飛び出して来て、空へと舞上った。見上げると、頭の上、七、八尺*程の所に、何でも毛みたような物が、
出ぇらいた、出ぇらいた、
二つの毛玉は、附かず離れず、風に吹かれて遠ざかって行く。
あんたぁ、
顔鳥とは鳥ではないんかいの、
自分は大いに慌てて、竿を振るって鞠を刺そうとした。
がっかりしていると、何やら後ろから、
結句、
そう頭を振る鑛さんの目の周りは、何だか、見る見る黒ずんで行くような気がした。
尺:昔の長さの単位。一尺は約三十センチ。
<了>
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