第11話 基礎テスト

「さて、いよいよ次は模擬演習だ。とは、言っても実際の機体に乗るわけではないよ。プログラム用の魔術を使用するだけさ」

「模擬戦とは言え、初めての戦闘です。あまり、緊張せず臨んでくださいね」

「あの、質問いいでしょうか?」

「どうかしましたか、山邊 潤」

「ナジェはどうなるんですか?」

俺からの質問にメーティスさんは表情を曇らせた。何か聞いてはいけないことだっただろうか。

「私たちは戦闘には参加できません。あくまで、貴方たちに神性を付与するだけなので」

そう言うナジェは沈痛そうな面持ちだった。

「さ、落ち込む気持ちはわかるけど今は気持ちを切り替えて模擬戦に集中してほしい。準備はいいかい?」

「おうよ!オトナシが戦えない分、俺が倍暴れるぜ!」

「歩夢様、あまりご無理をしないで下さい」

オトナシさんの声、初めて聞いたけどかわ…

「醜態をさらさぬ事、期待してます」

背筋が凍り付くような、そんな冷たい声が聞こえて来た。誰の声かはこの際、触れないでおこう。

「さて、そろそろいいだろう。模擬戦とは言っても実機を使うわけではない。魔術による、仮想空間だ。それでは、いくよ」

その声を合図に意識が遠のく…

「ここは…?」

「そこが機体の操縦席。機体は君たちの思考や手足とリンクしている。潤君が右手を振れば、機体も振る。ジャンプなどは、頭のイメージが大事になってくる」

こんな感じだろうか…?右手を大きく振ってみる。「そうそう、そんな感じだよ。では、基礎テスト 今から光弾を飛ばすので避けること」

言い終わるより先に弾が飛んでくるので、それを紙一重で交わしていく。感覚が掴めてきたら、機体の操作も意外と楽なもんだ。一方、誰かは分からないけど被弾しまくってる方がいるけど大丈夫だろうか?

「さて、基礎テストもここまで、次は実戦テストだ。ただの実戦テストじゃない、3人の連携で隠れている敵を倒してほしい。という事で通信機能オフライン解除」

「私、さっき被弾しまくりだったのに大丈夫かな?」

先程、集中放火されていたのは由貴さんだったのか。

「気にするな、今度は俺達がいるから大丈夫だ!な、潤」

「そうだよ。俺達がサポートするから気にしないで!」

「2人とも、ありがとう…」

俺達3人がチームとして強く結束できた…そう感じれた最初の瞬間だった。

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