おやすみの合図


 ぱたん。本を閉じる音。

 それがおやすみの合図だ。

 くわあと欠伸をひとつしたのち、寝そべっていた椅子をすとんと降りる。

 その間に落ちる部屋の明かり。

 布の擦れる音に。


「おいで」


 自分を招く声。

 その声にみゃあとひとつ応えて、心地の良いぬくもりに潜り込んだ。

 ふふっと笑む音を耳に、くるりと体を丸めて。


「おやすみ」


 そっと背を押されるように、思惟は闇に溶けていった。

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