双子の美少女が俺の許嫁なんて信じられる訳ないんだが

椿

第一章

双子の美少女が俺の許嫁なんて信じられる訳ないんだが

 突然だが、あなたは「許嫁」という言葉を知っているだろうか。


 ある辞書によると、許嫁とは「双方の親が子供が幼いうちから結婚の約束をさせておくこと」や「婚約者」等という意味があるらしい。


 俺、高橋良哉たかはしりょうやには、漫画やラノベの世界でしか見たことも聞いたこともないような「許嫁」などという存在がいることが発覚した。



***********************



 これは昨日の深夜に遡る。

 俺がベッドに入って気持ちよく寝ていた時に、突然電子音が部屋中に鳴り響いた。俺は飛び起きたが、一瞬何が起こったか理解できなかった。

 少し経って、枕の横で自分のスマホから電話の着信音が鳴ってることに気が付いた。


「ん…もしもし?」


「良哉、久しぶりだな!元気してたか?」


「こんな真夜中に電話なんてしてくんなよ。寝てたのにさ。今、夜の3時なの分かってる?」


「悪い悪い。仕事が忙しかったせいでタイミングが無くて、今ちょっと時間できたから。」


「いや、だからってよりによってなんでこの時間?かけるならせめて別の時間にしてくれ。朝とかじゃダメなの?毎回毎回寝てる時にかけてこないでって言ってんじゃん。」


「悪いって。でも明日の朝じゃもう遅いからな。てか朝寝てるし。」


「知らねぇよ。じゃあそんな急用ならもっと早く言ってくれ。」


 俺が話しているこの低い声の主は俺の父親である高橋陽介たかはしようすけだ。

 因みに、父さんは今北海道に単身赴任しているから、電話で話している。父さんは仕事のせいで完全に昼夜逆転生活してるから、たまに電話がかかってくる時はいつもこの時間。ほんとに止めて欲しい。


「で、結局何の用?眠いから早めに済まして。」


「いやでも、これ聞くともう朝まで寝れないかもしんないぞ?」


「はよしろや」


「分かった分かった。それで、本当は前々からお前に伝えとかなきゃいけなかった大事な話なんだけどさ、」


「おん」


「心して聞けよ。何言ってるか一瞬理解できないと思うけどな、」


「え、何怖い。」


「お前にはな────」



「許嫁がいるんだ。



「…………………は?」



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「なぁなぁ中野、俺の前代未聞なニュースを聞いてくれ」


 超重大事項を父親に告げられた翌朝、教室に入って早々俺が話しかけたのは、隣の席に座っている俺の友達、中野壮なかのそうだ。


「なんだよ、来て早々。てか隈すごいなお前」


「それはいいから」


「で、その前代未聞のニュースとやらは?」


「俺に許嫁がいるんだって。二人も。」


「はい?エイプリルフールはもう1週間以上過ぎてるけど。しかも二人って、嘘つくならもっとましな嘘つけよ。」 


「辛辣。」


「てかもしそれが本当ならお前サラっとしすぎだろ。そういうのってもっと重大そうに言うもんでしょ」


「だって真実味が無さすぎるし。でもこれから本当に真実になるかもしれない。」


「全くもって意味不明。マジで何言ってんの?」


 自分でも本当にそう思う。もう誰か助けて。


「昨日の夜に父さんから電話で聞いた。しかも今日俺たちのクラスに転入してくるって。」


 昨晩、父さんに衝撃の告白をされた俺はフリーズしていたが、その後に、その二人が明日同じクラスに転入してくると言われてまたフリーズした。

 因みに、その後すぐに父さんは電話を切ってしまった。逃げやがったな。

 結局目が冴え切ってそれから一睡も出来なかった。隈はそのせい。


「じゃあ結局全部嘘だったらお前の昼飯半分俺が貰うわ。本当だったら俺が半分やるわ。」


「それ俺が勝つ確率0に等しいんだけど。自分で自分が負けるに1000円賭けていいまである。」


 担任が教室にやってきてSHRが始まったので会話はそこで途切れてしまった。

 すると、いきなり担任が「今日から二人の転入生が来ます。」と言った。

 周りは「イケメン来るかな?」とか「俺は両方女子以外認めん」とか大騒ぎになっていたが、俺たちは


「「嘘だよな…?」」


と二人でついハモってしまうくらいに顔を見合わせて驚いた。


「偶然だよな…?」


「父さんが言うには、苗字は『一之瀬』っていうらしい。」


「もう一人の苗字は?」


「いや、他には言われてないな。」


「どういうことだ?二人いるのに苗字が一つってことか?」


「確かに。よくよく考えれば変だな。ってことは


「そういうことじゃね?てか何でもいいから頼む偶然であってくれ。第一、こいつに許嫁なんて俺が認めねぇ。」


「どの立場だよ。」


 黙るよう指示されたのもあって会話は途切れてしまったが、静かになった為に、担任が転入生に教室に入るよう促した。

 入ってきたのは、超美少女二人だった。

 その端麗さ故か、メデューサと目を合わせて石になったかのように教室内の生徒達は固まっていて、あんなに五月蝿かった教室はシンと静まり返っている。

 担任がその様子を見て呆れながら言った。


「えー、ではそれぞれ自己紹介を頼む。」


「はい。私は一之瀬紫音いちのせしおんです。よろしくお願いします。」


 とても端的な挨拶で終わらせた彼女は綺麗な長い黒髪と碧眼が特徴で、清楚でモデルのようなスタイルをしていた。

 そして、隣にいるそのもう一人の転入生が自己紹介を始めた。


「じゃあ次は僕だね!僕は一之瀬黄葉いちのせもみじだよー!運動は得意だけど勉強は少し苦手かなー。みんな気軽に名前で呼んでね!よろしくね!」


 一人目と対称的な自己紹介をした彼女は、金髪のサイドポニーとが特徴である。ギャルっぽさはあるものの、彼女も一人目と大差ないスタイルをしていた。

 まだ教室内の生徒は固まっているが、SHRが終わった頃には教室内だけでなく廊下中が大騒ぎになっていた。

 教室の真ん中なんて黒い塊にしか見えない。


「これがお前の言ってた許嫁達か?やっぱり苗字も一緒だし。」


「そう……じゃないか?自分でもこんな美少女達が許嫁なんて信じられないけど。てかあんまりデカい声で言うなよ。周りに聞こえんだろ。」


「じゃあ叫ぶわ。」


「はっ倒すぞ。」


「でも昨日許嫁がいることを知ったとしても、顔くらい知ってるんじゃないのか?」


「あんな人達会ったことあったら一生忘れないわ。」


「てか思ったんだけど、あの二人…似すぎじゃね?」


「だよね?俺も最初から思ってたわ。」


 俺たちがそんな会話をしている最中、そろそろ一時限目が始まるのもあって、少しづつ廊下が静かになっていき、教室の真ん中から声が聞こえるようになってきた。


「黄葉ちゃんって紫音さんと顔似てるけど、姉妹なの?」


「そうだよー!正確には双子だけどね!因みに僕が妹だよ!」


 その事実を知って二人で唖然とした。


「お前の許嫁達って双子なのか…?」


「らしいな…」


「ん?お前の父さんから聞いてないのか?」


「なんも。許嫁が二人いて今日転入してくるってことしか。」


「マジかよ。なんか色んな意味ですごいな、お前の父さん。」 


 本当に勘弁して欲しいわ、あのおっさん。用件完全に伝え切ってねぇじゃねぇか。

 次会った時に顔面一発殴るくらいの権利はあると思う。

 てか普通に双子が両方とも許嫁とかアニメでもラノベでも聞いたことねぇよ。うちどうなってんだよ。決めた奴頭おかしいだろ。

 などと頭の中で父さんに暴言を吐きまくっていた。


 もうそろそろ一時限目が始まるから近くの席の人同士で話したりはしていたが、流石に皆席に着いていた。

 …あ、そういえばなんも準備してねぇ。



***********************


【あとがき】

 この作品を読んで頂き誠にありがとうございます。

 この作品は以前私が書いていた作品のリメイクです。内容は少し変わっていますが、そこまで大きく変わっているところはありません。近況ノートにも同じことが書いてあります。

 不定期更新なので、遅れても多少長い目で見ていただけると幸いです。

 

 最後に、応援・コメント・星・フォローよろしくお願い致します。とても励みになります。

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