第56話 高校2年生
「やったね!」
「よかったね〜!」
「一緒だー!」
4月、俺たちは高校2年生になり、愛美や妹は中学2年生に進級した。
高2からは、クラス分けの心配がない。
というのも、将来目指す大学や、学部によってクラスが分かれるからだ。
高校入学組も混ざって、難関国立文理の4つ、国立文理の4つ、私立文理の2つで10クラスに分けられる。進学校なので国立狙いの人が多い。
俺たちはみんな私立の文系大学を目指すクラスになった。
目指している大学が、市内の中心部にある、私立の文系大学だからな。
正直一番緩い雰囲気で、楽なクラスだ。
「圧倒的女子率」
「男子の肩身狭いよな」
「まあ、可愛い子が一番集まってるから目の保養になるけんいいっちゃけど」
いつものオタク友達と話している。
このクラスは女子8割で男子が2割の8人しかいない。女子校の中に迷い込んだかのような雰囲気がある。
「そういやお前、どの子と付き合っとーと?」
「え、いや、付き合ってはないけど」
もう言ってもいいかとも思ったが、やめておこう。
余計な嫉妬を集める必要もないし。
「嘘やん!?これだけ一緒にいるとに?」
「いや、みんな一緒にいすぎて選べないというか・・・」
選べないのは事実。
みんな可愛いからな、1人に絞るなんてできないし、しない。
「きさんくらすぞ?(お前殴るぞ)それで九州男児かよ」
「いや、お前には関係なかろうが」
こいつらと一緒にいると少し口調が荒くなる。別に喧嘩をしている訳では無く、普通の会話だ。
「まあ、関係なかけど、そろそろ選んでやれよ〜?そういや軽音楽部のアニメの2期始まったけど見た?」
「あー、見たみた、2期やってくれて嬉しいよな〜」
「あのなんとかビーツってのも面白かったわ」
「浩介ー!こっち来てー!」
「お、呼ばれたからまた後でな」
お、美咲に呼ばれた。
こんなむさい所からおさらばして、さっさと女子の中に行こう。
「今年の体育祭は中1の時みたいにみんなで一緒にムカデリレー出ようよ!」
「お、いいね!そうしよう!」
「浩介私たちの中で一番身長高いから、一番前ねー!」
あ、そうか、そうなるのか。真ん中がよかったな〜。
ムカデリレーは間に挟まるから楽しいのに。
「ほら、浩介残念そうな顔しないの〜!イチャイチャするのはいつでも出来るでしょ〜?」
「まあ、そうだけどね」
「私も足引っ張らないように頑張るから」
「杏奈、そんな気負わなくていいからねー!」
「今年は修学旅行もあるし楽しみだね〜!」
「フランスとイギリスだもんね!」
高校の修学旅行はフランスとイギリスの2カ国を巡る。
ヴェルサイユやパリの観光、ロンドン観光などなど、1週間ほどで予定がみっちり詰まっている。
「やっぱりルーブル美術館に行って有名な絵画見るの楽しみだなー!」
「私はイギリスのご飯が実際どんな感じなのか気になる〜」
「本当は美味しいんじゃないのー?聖奈は大袈裟に言ってるだけだと思うなー」
まあ、うまいものが無いってことはない。大抵わざわざ食べに行きたくなる様な物でもないけど。
「フランスはご飯美味しそうだよねー!」
「自由行動の時どこ行くかも考えておかないとね!」
「パリとロンドンでそれぞれ自由行動があるんだよね?」
「イギリスでアフタヌーンティーしたいなー!」
「あ、それいいかも!予定に入れないとね!」
「そうだよ〜、私ブランド廻りしたいな〜!」
買い物は大変そうだ・・・。
「まあ、まだ先のことだから、ゆっくり考えておこう」
「大学生になったら、もっと色んな国に旅行に行きたいねー!」
「お兄さん達は、何組でしたー?」
「俺たちは1組だよ」
「あ!じゃあ、私とは一緒ですねー!体育祭楽しみー!」
「私は愛美とクラス別れちゃった〜」
この2人はクラス別れちゃったか、残念。
「でも帰りは一緒に帰れるからねー!」
「お兄ちゃんは彼女達とクラス一緒でいいな〜!ずるいー!」
妹には愛美と付き合っている事を隠しきれないと思ったので、もう言ってある。
もちろん、両親には内緒にするように口止めしてるけど。
買収するのになかなか高くついた。
「それ家では黙っててね?」
「わかってるー!あ、そうだ!私今欲しいものあるんだ〜?」
ニヤニヤしながら顔を覗き込んできた。
「あ〜、わかったよ、なんでも買ってあげるから」
「ふふ〜ん、今度一緒に買いに行こうね〜!」
黙ってた方が良かったか?
「彩華ちゃんほどほどにしてあげてねー?」
「はーい!お兄ちゃん、美咲先輩が優しくて良かったねー!」
4月末
毎年のことだが、体育祭がある。俺たちの1組と2組が紅組だ。
今年からは6人揃っているので、気合が入る。
「愛美ー!がんばれー!」
愛美はリレーに出ている。
「愛美1位だったねー!」
「私の妹分だからね〜!あれくらいできないと〜」
渚の妹分だったのか、知らなかった。
「次は聖奈たちのムカデリレーだよー!がんばろー!」
「お〜!」
「杏奈もほら、楽しくできればいいんだから!」
「うん!ありがとう!」
杏奈は少し緊張している様だったが、少し落ち着いたかな?
「はぁ、はぁ、なんとか、1番に、なれたね!」
「ね!ふぅ、杏奈も、頑張ったね!」
「みんなの、おかげ、だから!」
「へへーん、お兄ちゃん達に勝ったよー!」
「おめでとう!」
結局今年の体育祭でも俺たちの紅組は優勝できなかった。妹達の組が勝っていた。
妹のドヤ顔はなんかムカつくが、まあ許してやろう。みんなで楽しかったしな。
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