第41話 (2008年10月10日)飛躍

2008年10月10日


修学旅行から帰国して4日後、リーマンシスターズ破綻から約1ヶ月。


ようやくこの日が来た。


モルカン・スタンリーはニューヨークに拠点を置く名門投資銀行だ。


サブプライムローン問題で株価が大暴落し、次に破綻するのはここではないかという憶測が市場には流れている。


いつ底値になったか、細かい日時は覚えてはいなかったが、この会社の株が6ドル台まで落ちたというのはよく覚えている。そのすぐ後に日本の四菱銀行から出資を受け、株価が急回復したはずだ。そのため、この会社の株価は株価暴落以降毎日チェックをしている。


この日学校から帰り、いつも通り夜株価をチェックしていたら7ドルを割り、6ドル台に入ろうとしているところだった。


やっときた! 全力で買わないと。


モルカン・スタンリー株23万6000株を1億6380万円で買うことができた。


これは、四菱の出資のニュースが出たらすぐに売却する。倒産が回避できただけで、問題が解決したわけではないからな、また値下がりする。




10月14日


『13日に行われた四菱銀行による、9000億円にものぼる出資でモルカン・スタンリー株は・・・』


テレビを見ていると待望のニュースが流れてきた。


本当に底値になってからすぐだった。昨日、日本では祝日の日に前世通り出資が行われ、モルカン・スタンリー株は24ドルまで急上昇していた。


即座に売り注文を行い、決済する。


口座残高は、5億8230万円になった。


ドル円の為替も10日に1ドル99.12円だったものが、1ドル102.82円まで円安になっていた影響で2000万円ほど利益が上乗せされていた。


4億以上の利益だ。


それもたったの5日間で。


この短期間で、今までの取引がアホらしくなるような利益が出て、頬のニヤケが止まらない。


為替相場の変動による影響も、馬鹿にできない利益になった。逆にいうと、円高に振れれば、大損するということでもある。今後の円ドル相場は円高に向かい、2012年の政権交代までその傾向は続く、気をつけておかないと危ないかもしれない。


銀行口座に400万円を移し、口座画面を閉じる。最近では、夏の旅行やデート、プレゼントなどで毎月100万近く使っているため、銀行口座はほとんど0に近かった。





「浩介!まった?」


「今来たところだよ!」

定番の流れをしつつ、聖奈とデートに向かう。

聖奈は少し大きめのアウターの下にニットのタートルネックにロングスカートを着ていた。


「今日も可愛いね、オシャレしてきてくれたんだ?」


「もちろん!デートだもん!遊園地楽しみだね!」

今日は、電車で1時間ほどかかる、小6の夏に塾の合宿でいった遊園地に向かっている。


「うわー!なつかしー!浩介とこれ乗ったよねー!」


「そうそう!あの時の聖奈もはしゃいでて可愛かったなー」


「えへへ、今はー?」


「今ももちろんかわいいよ!」


「あの頃から私のこと好きだったんでしょー?」


「そうだよ〜、合宿でテンション下がってた時励ましてくれたよね〜、この遊園地でも可愛くて、その時に好きになったよ」


「優しくされただけで惚れたのー?」


「その前から好きだったんだよ〜、でも好きって認識したのがこの場所かな〜」

大体、前世あたりから好きだった、可愛いし。


「じゃあ、2人の思い出の場所だね!ここ」


「そうだね!また来ようね!」

魚を氷漬けにして炎上したりした後、2018年の1月1日に閉園しちゃうんだけどね。


前世でもここがなくなったときは少し寂しかった。


「今度は4人でも一緒にきたいね!美咲と渚も!」


美咲も渚も聖奈も、思ったより仲良くしているようだ。結構、渚に甘えているところは見聞きすることが多い。意外とこの2人の相性はいいのかな?


その日は日帰りで帰宅した、ホテルに宿泊するわけにもいかないし。

渚であれば家でできるんだが、他は大抵両親のどちらかがいるからなあ。

高校生になればある程度自由になれるはずだ、待ち遠しい。




翌11月20日


モルカン・スタンリー株はまたもや9ドル台まで値下がりしていたので、9.4ドルで64万株購入する。


購入金額は約5億7700万円だ。

倒産もしないし、先月以上に値下がりしないことも分かりきっている簡単な取引だ。



この株もすぐに上がってくれるはずだし、口座残高をみるのが楽しいなぁ。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

モルカン・スタンリー→モ○ガン・ス○ンレー

四菱→三○U○J銀行

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る