第15回 父ちゃんの匂いがした、はディスられてないよな?
臨海都市セルゲイ。
そこは陽光を反射して煌めく青い海、空を飛ぶカモメの群れ、そして隠れ里以上に賑わう人々とどれも俺の見た事のない港町がそこにはあった。
この独特の匂いが潮の香りというやつだろうか?嫌味にならない程度の生臭みは露天で売られているたくさんの魚介類のせいかもしれない。
オレは思わずミサキからスマホを借り受けると何枚も写真を撮り始める。
そしてそんな俺とミサキを尻目にこの
完全に
「・・・お前ら、まずはセルゲイの冒険者ギルドに行くんじゃなかったのか?」
冒険者ギルドとは個々の国や街に属さない非国営団体である。
元より【冒険者】とは自己申告制な面もあり、無職の人間が『俺は冒険者だ!』と名乗ればもう冒険者になってしまえるのだ。
だが、そこで待ったをかけてくるのが冒険者ギルドである。ギルドは完全登録制であり、所属するメンバーは必ず身体のどこか目立つところにギルド証を装備する義務があるので非登録の者と区別がつきやすい。
そして登録の際は必ず面接にあたる受付員の前で筆記による書面登録が必須となるため、実はこの世界の識字率は農村などを除けばかなり高かったりする。【紙と鉛筆】をもたらした異世界からの稀人のおかげで本が特別高価ということも無い(活版印刷という概念もあるため)為だろう。
本が普通に売ってることに俺たちが喜んだのは言うまでもない。
そしてもう一つの試練はギルド所属の教官と一騎討ちを行いどれくらい戦うことが出来るかを試される。
それらによって冒険者ランクが決められ、F~Sまでランク付けされる。この格付けは低いランクの者が危険な高ランクのクエストを受けれてしまわないよう設定されたものである。
また、冒険者が勝手に個人で魔物の素材や採取品を商店に買い取ってもらうと足元を見られるなどして売値が上下してしまうことを防ぐ為、素材の買取はギルドへ一任されている。そして商店が素材を求める場合はギルドが卸業者となって格安で各店舗に販売するため商業ギルドから睨まれることも無いのである。
ただし、国に属さないとは先述してはいるが例外としてギルドへ危険な魔物集団の出現がもたらされた場合や王宮からの依頼などによりその街に所属する全冒険者へ通告される【緊急クエスト】という手の空いている者全員参加の特別依頼が発生する場合もある。
少し前に俺たちが解決した調査団の救助依頼など特殊な場合もあるらしいが。
ちなみにジオは里長という立場から好き勝手にギルドを改装しただけでマグラスのギルド長は別の人らしい、憐れな。
「そうじゃったな・・・【
「おー、気持ち悪さが消えたぞ!」
「ワシの魔法は酔い止めではないのだがな・・・。」
「あ、二人とも起きた?さっそく美味しそうなもの買ってきたよー!」
いないと思ったミサキは露天で串に刺さった焼肉を買っていたらしい。
「ほらほら、わたしが可愛いからってオマケしてくれたんだよー?」
「そいつは重畳、有難く頂こう。」
「わぁーい、オレも市場の肉串好きだぞ!」
「うむうむ、美味そうじゃ。」「・・・ハイエルフってお肉食べるの?」
「ワシはべじたりあんではないからの!」
そうして俺たちは本当にマグラスの隠れ里から一日で臨海都市セルゲイに辿り着き、夕暮れに沈む街に浪漫を感じながら少し早めの夕食にありついたのだった。
「ところで晩メシなんにすんだ?」
「まだ食う気かクモっ子!!」
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翌日、適当な宿屋を借りた俺たちはテーブルを囲み朝食を頂いていた。
「ルリコ、なんで昨晩は俺のベッドに潜り込んできたんだ?」
「えー、ハヤトいい匂いして父ちゃんのこと思い出しちゃってさーつい。」
そう、俺が今朝目覚めると巨大なクッションに包まれて寝ていたのだ。そして起こしに来たミサキに「ハヤトおはよー、なんか起きたらルリコちゃんいなかったんだけど知らな・・・なにやってんのかな??」と危うく朝から修羅場を迎えかけた。
わざわざ俺と女性陣の部屋を分けて取ったのに、ルリコは我がベッドに侵入しそのモフモフした柔らかな蜘蛛ボディが俺を押し潰して寝ていたのであった。
おかげで見事な赤い手形が俺の頬に咲いていた。
「ルリコちゃんもダメでしょーが、普通男女は同じベッドで寝ちゃダメなんだよ?」
「そうなのか?父ちゃんたちはいつも一緒だったぞ?」
「そ、それは夫婦なら良いというか・・・。」
「クフフのフ、どうやらミサキは
「・・・///」
「おぼことやらがなにか知らんが一応指名依頼で呼ばれてるんだろう、料理を楽しんだらさっさと行くぞ?」
「はぁーい!オレも行くぞー。」
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「お帰りなさいませお嬢様旦那様、どうぞこちらセルゲイ冒険者ギルドでございます。」と、執事服に身を包んだ眼鏡のイケメンが俺たちへ深々と礼をしつつ優雅な所作でギルドへ迎え入れてくれた。
なんだこれは?
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