第186話
「桐堂様ー、大丈夫でございますかー?」
「………なんとか」
なんとか時間通りに食堂に着き、そこで僕は力尽きるように突っ伏した。
「自分の家じゃ無いんだから、その格好はやめなさいよ。ほら、道尾ですらちゃんと座ってるわよ」
「誰のせいだと……」
アレは座っているというより座らされているようにしか見えないが。
目を閉じたままゆらゆら揺れているのをメラノさんが必死に支えている。
「茜音ちゃん、もう起きて」
「んんっ、ん……」
もはや孫の介護が必要な婆さんだ。メラノさんの方が年上だが。
「そういえば烏川」
重い首を持ち上げ、隣に座る烏川の方へ視線を向ける。
「なにかしら?」
「結局ご褒美ってなんだったんだ?」
「あら、覚えてたの」
全く悪びれてない。
「何も言わなかったからさっき渡したスポーツドリンクで満足していたとばかり」
「疲れてただけだ!」
全く、すぐそうやって僕を揶揄う。そっぽを向いて腕を組む。肩を叩かれて視線だけ向けると、いつのまにか烏川の顔がすぐ近くに。
「ちゃんと用意してるから」
耳元で何か囁かれたが全く頭に入ってこなかった。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「……えーっと、桐堂?大丈夫?」
「………」
突然桐堂が凍ったように固まる。
なんだか最近、桐堂の様子が変だ。本来なら何かされたのなら匂いや音で分かるのだが、テレサの件もある。念のため触れて確かめる。
「(………特に異常は無し。当たり前よね……)」
首を傾げる。今回は別に意地悪したわけでもない。
「(やっぱり、人間の頭は複雑怪奇ね)」
よしよしと頭を撫でると「わひっ」という意味不明な鳴き声をあげ完全に
「なぁー!桐堂様!ズルいでございます!」
「いいなぁ。暁海ちゃん、わたしの頭も撫でて?」
「zzzz………」
「(やっぱり、変な子たちだ)」
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