第183話
「わたくしの部屋はこちらでございます」
「お邪魔しまーす」
流石にこの人数で入ったら狭いだろう。なんてことを考えながら入室するが、まったくそんな事は無かった。
「うぉぉぉぉぉぉぉ!」
「貴女は大人しくしてなさいな」
駆け回ろうとする道尾を既に部屋にいた何者かによって脇に抱えられ、押さえつけられる。
「う、烏川……?」
「先に邪魔してるわ」
誰かと思えば烏川だった。
「まったく、どこに行っても騒がしいわね。この子は」
「ははは……」
力尽きた道尾を雑に解放すると、再び烏川は椅子に座る。
「座布団フカフカだねー」
「ちょっとだけお気に入りでございます」
その向かいで燕翔寺の座布団に沈むメラノさん。たしかに触り心地良さそうだ。
高価そうな家具と、所々に可愛らしい小物。そしていくつかの写真に彩られた部屋。高貴な雰囲気もありつつ、和める空間がそこにはあった。
「………」
綺麗に整えられた空間。寮の方にも一度お邪魔したが、やはり女子というのはこういう、整理整頓を気にするのだろうか。
ふと自分の部屋を思い返す。
教材やハウンドのメーカー雑誌は電子版でタブレットに収められているが、自主トレーニング用に用意した器具や、カタログが散乱していた。
「(帰ったら片付けよう……)」
「………?」
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