第141話
「と、こんな感じで私の推測ではヴァンプの可能性は低いと思うわ」
「成る程な……」
「それよりも」
「?」
烏川は僕の方へ向き直り、足を組む。
「問題はあの女子生徒から聞き出した情報よ」
そろそろかしら。烏川がそうつぶやいたその時、メッセージの受信音が聞こえる。
「来た来た」
「……?」
烏川の携帯端末から映し出された立体映像には女性教師と先程の女子生徒が映っていた。
「こんにちは」
「はい、こんにちは。この度は助けて頂いてありがとうございました」
「気にしないで頂戴。それより当時のこと、思い出せそう?」
「少し朧げですが、はい」
「それで、その男は貴女を"桐堂廻影か?"と聞いてきた、って事で間違い無いのよね?」
「はい……その後は、記憶が曖昧で……」
「分かったわ、ありがとう」
映像が閉じられ、烏川の方を見る。
「つまりこれは」
「そう。貴方を狙った襲撃よ」
これ以上無関係の人間を巻き込む訳にはいかない。しかし、今の僕では奴らに敵わない。
「(一体、どうすれば……)」
頭を抱える。僕に、力さえあれば。
「桐堂様」
聞き慣れた友人の声が耳に入る。顔を上げ、振り返えると、そこにはメラノさんに道尾、安良川。そして……
「わたくし達も協力致します」
優しく微笑む、燕翔寺の姿が。
「流石に今回は手が折れそうだから、そいつらと他のクラスメイト、教師陣にも声をかけておいたわ」
流石は学年代表、表向きは優等生。普段は他人とのコミュニケーションなんか放棄しているくせに。
そして飛燕の令嬢、燕翔寺のお陰で更に団結力が高まっていく。
「せっかくメラノさんが登校しだしたのに、そんな紛らわしい奴がいたら台無しよ。ねぇ?」
「わ、わたし……?」
「桐堂はぶっちゃけどうでも良いけどな」
「おい」
「ともかく、桐堂様、お姉様。わたくし達も微力ながら力添えさせていただきます」
「ありがと、智恵」
「お、お姉様……!」
「離れろ。抱きつくな」
なにはともあれ、これは心強い。
対策部の烏川、飛燕グループ令嬢の燕翔寺、ヴァンプのメラノさん。そして、後ろの方で大江山も溜息をつきながらも反対はしていない。つまりはそういうことだ。
これ以上頼もしい事はない。
「アイツらは私達を心底舐め腐っているわ。所詮ガキどもってね。そのガキどもがどれだけ小賢しく、鬱陶しい存在か、身をもって思い知らせてやりましょう」
「「「おおおー!」」」
大人に反抗すると聞くと否や、謎の団結力を見せるクラスメイト達だった。
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