第120話
それから2人は休み時間になるたび忽然と姿を消し、授業が始まると戻るの繰り返し。
殆ど会話をする事なく現在、昼休みに至る。
「ねぇーねぇー、みーかーげーくーん。とーもーえーちゃーんーはーどーこー」
「僕も知らない。自分で探してくれ」
「ちぇー」
道尾も安良川もどこか落ち着かない様子。メラノさんに至っては気分が悪いのかと思うくらいガクガクしている。
「だ、大丈夫かな、智恵ちゃん……」
「烏川がいますし、大丈夫じゃないですか?」
しかしメラノさんは首を横に振る。
「その暁海ちゃんが問題なの……ついやり過ぎて怪我させないか心配で……」
「………」
心当たりがないと言えば嘘になる。普段は無表情のくせに僕をボコボコにしている時なんかいかにも楽しいと言いたげな恍惚な笑顔になる事がある。
多分だがドSだ。本人が自覚してるかどうかは知らないが。
しかし
「多分、大丈夫ですよ。流石に敵でもない相手に大怪我を負わせたり、ましてや殺す事はない筈ですし。燕翔寺もああ見えて結構逞しいですよ」
「そうなんだ……」
兎に角、今の僕らには烏川を信じる事以外できる事はない。
昼休みが終わり、体育館へ向かうと先に2人が来ていた。
「準備はいいかしら?」
「はい、いつでも」
「なら行きましょうか」
そして一足先にシュミレーションルームへ向かう。
僕はというと、今日は道尾と組むことになった。
「ポジションはどうする?」
道尾と共闘するのは初めてではないが、まだどんな戦闘スタイルかは把握し切れてはいない。
「うーん、あたし射撃下手なんだよねぇ。あたしが前衛で良い?」
「別に構わないが」
「じゃあお願い!」
燕翔寺の事が気がかりだが、かといって僕自身のことを疎かにするわけにはいかない。
「(こっちも集中しよう)」
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