第143話 numerous
フランスの女神は、4号車の端にある
ファーストクラス専用のシャワールームに入り、
内側から鍵を掛け、ドレスを解いた。
なぜか、女性型なので
美しく白い裸身が、ドレッサーの鏡に映るが
ステンレスの内装の、機能的な脱衣所は
そのヌードを鏡に映しても、病院の情景のようにしか見えない(笑)。
「若い男の子なら、それでも発情するのかしら」と、フランスの女神は
生き物の生理を連想した。
そういえば、ヒトラーがなぜユダヤを嫌ったのか、と言う理由が
ユダヤの私生児として生まれた経歴、つまり
本人の意思で変えられない出生、にあったのだから
それもまた、精神分析学的な分類に
ピッタリの適合である。
イジメを好む者は、劣等感の持ち主。
アメリカの精神医学会が出版するマニュアル、
法廷でしばし引用されるDSMにも類型として
記されているし、古くはジーグムント・フロイドなども説を唱えている
原体験の記憶である。
ひどくそれを気にしたヒトラーが
ユダヤ迫害をしたのは、極めて個人的な
精神異常だった訳、なのだから
物語なら悲喜劇である。
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