第101話 srr

「でも、傷ついたひとの心は、簡単には直せないわ」と、フランスの女神は言う。




サンライズエクスプレスは、大船から緩いカーブを抜ける。

そろそろ、湘南と言う言葉の感じに相応しい頃。




「うん、人間は難しいからね。記憶を入れ替えちゃえばいいんだが」と、ドイツの神様は

医学書みたいな事を連想しながら。



めぐの国の神様は、ふと、自分の国に

いるめぐの事を思い出した。




ーあの娘なら、魔法で夢を操作できるとか

聞いたが。




人間にとって、記憶を操作できるのは

夢。




たいてい悩む時、同じ事を考えるから

それで、思い出したくない事を

記憶し続けてしまう。






あんな能力を、上手く使えるならな。




と、車窓を見ながら回想。





列車は、海岸沿いにそろそろ近づく。




砂混じりの風が吹いてきそうな、湘南。




夜更けの町は、しっとりと夜闇、すでに深夜。



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