第98話 one

「それは、日本人には助けはいらないと

お考えなのですか」と、アメリカの神様は言う。



出雲神は、いやいや、とにこやかに手を振り


「助けてあげてもいい。それもいい。

でも、何もしなくても真の日本人は変わらない。強い民族だから。その証拠に」と



出雲神は、さっき皆が話していた

マクドナルドの事を例にした。



真の日本人の多くは、庶民だから

お金の使い道を知っている。



アメリカの資本家の手先になった男が

「外食に誘導すれば、大儲けできる」などと

日本人を見下した発言をしたが



それこそ、小賢しい考えで


誘導などに誰も乗らなかった。



だから、失敗した。





理由は簡単で、この男に魂が無かったから。




美味いものを安く売ってあげれば、誰だって来る。




美味しい、という感動が心を動かす。




でも、誘導とか儲けとか

そこに真実がない。


騙しだけだ。




「なるほど、レッセフェール」と、フランスの女神は言った。



自由にしても、やがて淘汰される。






「その社長も淘汰されたしな」と、ドイツの神様も言った。





「アメリカのマクドナルドは、もっと量があって、満腹の感動があるよ」と、アメリカの神様。





そう、それも感動だ。



どちらもなければ、誰の感動も呼べない。

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