第50話 band

「薬でなんとかする前に、どうにかならないかしら。自分勝手な人って、結局愛に裏切られた人でしょう」と、フランスの女神は

それらしい言葉を言った。



「それはもっともだけど、今更時は戻せないさ」と、アメリカの神様。




愛されなかったからって、人を傷付けていいって事ないだろう、とドイツの神様。





「ああいう人々って、急かされて育ったのよ、きっと。」と、女神。




「じゃから、一時的にそれを忘れる事が出来れば、彼らだって楽になるんじゃろう。苦しいんだよ、ああいう人達だって。

心の中で傷ついての」と、めぐの神様。





フランスの神様も、無言になった。




そこで、ひょい、と

ドイツの神様はその場だけ術を使った。




すると、エスカレーターを駆け上がろうとしていた強張った顔の

人々は

憑きものが取れたように歩みを止めて


エスカレーターは、2列で乗る

当たり前の風景になった。





それが、よかったのかどうかはわからないけれど。





「その術で、世界を救えるといいがのう」と、めぐの神様。




「もともと、人間は増え過ぎたのさ。

だから、競い合いが過ぎて傷ついた人々もいる。



数が減れば元通りになるけれど。

動物と違って、天敵が居ないから

人間同士で殺し合いたいのさ」と、

アメリカの神様。




それも自由だろう、と言いながら。



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