第191話 それぞれの覚悟
一方、伝説の黒崎の方にも訪問者が居た。
「よう…お前とツラ合わせるのは吐き気がするが…お前に詫びたい気持ちもあってな…」
そう言ったのは薫の元カレを殺傷した安藤だった。
「お前…とことん頭のネジ飛んでたのにどうしたんだよ…あの偽物にやられてやっと正気に戻ったのかよ…」
黒崎が言う。
「そうかもな…なんつーか…もう腐った人生に疲れたって感じかな…」
「で?何の用だよ!」
「あの女…ヤバいことに巻き込まれてんだろ?」
「安藤…」
「俺をけしかけた佐々木日登美って女は自業自得だが、あの薫ってのはちょっと可哀想だな…だから…手伝ってやろうと思ってな…」
「お前…そうか…今回の件は俺達には少し荷が重いかも知れん…しかし、ただ黙って殺られるのを見過ごすことも出来なくてな…助かるよ…」
「だろうな…」
また小山内の元へも橋本と片桐が駆けつけていた。
「よう、小山内久しぶりだな!」
「橋本…片桐…」
「お前の女…やっぱりあの有名な矢崎薫って奴だったな」
「あぁ…元レディース総長にして、あの伝説の黒崎と深く関わりを持つ女だ…」
「お前…お前の相棒が影武者だって知ってたのか?」
「フッ、本物だとか影武者だとかそんなのどうでも良いんだよ!俺の黒ちゃんは誰が何と言おうと伝説の黒崎天斗だ!あいつは本物の男だよ!」
「なるほど…ところでお前…彼女のこと心配で眠れねぇんだろ!」
「バカ言え…かおりは俺の命に代えても守るから心配なんかしてねぇよ!」
「そうかいそうかい…小山内、俺達も参戦してやる!死ぬな!」
橋本が真剣な顔でそう言った。
理佳子…きっと怒るだろうなぁ…今回の山は正直今までとは全く危険度が違いすぎるもんな…ただの喧嘩なんかでは済まないのは火を見るより明らかだ…誰がどうなってもおかしくない…みんなそれぞれ幸せな人生を目前にして、何でこんな修羅場に直面しなきゃなんねーんだよ…俺は卒業したら理佳子と幸せな家庭築いて平々凡々な人生歩むつもりだったのに…何でこうも次から次へと問題が津波のように押し寄せて来るんだよ…俺の平和な人生はどこ行っちゃったのかなぁ…
母ちゃん…父ちゃん…息子の先立つ不幸をお許しください…男小山内清…愛するかおりの為に散り行く覚悟です!例えこの肉体が滅んでも…こんなに立派に育ててもらった恩は忘れません…だからどうか悲しまないでください!俺は…かおりを命に代えても守りたい!
兄ちゃん…お母さん…吟子さん…清…理佳…たかと…みんな本当にありがとう…今回の件は全て自分が撒いた種…誰にも迷惑かけたくない…もう少しだけ良い夢の続き見たかったけど…でも、もう十分かも…お母さんの気持ちがわかっただけでも…なんか全て不幸だった人生がチャラになった気分だし…吟子さんの悲しむ顔は見たくないけど…それが私の運命なら…仕方ないよ…今度ばかりは…多分運良く生き残れるって気がしないもん…なんか短かったけど、悪くもなかったかな…私の人生…
それぞれが死を覚悟して絶望の淵をさ迷っている中、理佳子だけは何も知らされておらずクリスマスのことで頭がいっぱいだった。
たかと君…今年はどんなクリスマスになるかなぁ…
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