第189話 新たなる火種
天斗の母と理佳子の母が話し合い、理佳子にとっても願ってもない提案と二つ返事で承諾され、理佳子が卒業とともに黒崎家に同居という形で話しは進む。そして猫のタカの件も無事解決した。天斗、理佳子ペア、そして小山内、薫ペアも全て順調に事が進んでそれぞれ落ち着いてきた。
「小山内先輩、卒業しちゃうんすねぇ…」
そう言ったのは小山内をリスペクトする後輩、相澤だった。
「小山内先輩…俺達は小山内先輩の築いたこの学校のまとめ方を受け継ぎますよ!」
そう言ったのは小山内に仲間とはどういうものかを教わった新入生、加藤だった。
「お前ら…」
「でもよ…もしかしたらまた学校一緒に登下校出来るかもよ?」
天斗が言った。
「え?そうなんすか?それ嬉しいッス!」
相澤が目を輝かせて言った。
「バカ野郎!そんな不名誉なこと喜ぶな!」
「だってぇ…」
「清はもし卒業出来なかったら退学させる!」
薫が言った。
「そうなんすか?」
「だってもう就職決まってるもん!」
かおりちゃん…ほんとにありがとう…
「結局一番ヤバそうだった奴が一番先に抜けるのかよ…人生わからないもんだな…」
天斗が恨めしげに言った。
時は流れクリスマスムードの色濃くなる時期に突入した。この日、例年よりも早く初雪が観測された。
「冷えるなぁ…こんなに早く雪が降るなんて異常気象かな…」
天斗がブルブル震えながら歩いている。
「黒ちゃん寒がりだなぁ~」
「お前が鈍いだけだろ!」
「そういやさ…最近片桐からまた連絡来たんだけど…また何か一騒動ありそうな気配だって…」
「なんだよそれ…」
「今度はちょっとヤバいことになりかねないぞ!」
「勿体ぶらずに言えよ!」
「ずっとおとなしくしてた佐々木日登美がまたこじらせてるらしい…」
「あ?また?」
「つーか…あいつ自身もヤバいことになってるらしいんだが…」
「それは自業自得だろ!」
「そうなんだけどね…この年末にかけてちょっと暴力団関係の方で佐々木日登美を中心に色々と揉めてるらしくて、あいつ退学にしたの薫ちゃんみたいでさ…それでなかなかブツも捌くの難しくなったとかでとばっちりが…」
「そんな事絶対重森には言うなよ!あいつ何しでかすかわかんないからな…俺達があいつを守らなきゃ…」
「でもよぉ…暴力団関係相手に俺達で事を収めるってのは絶対無理だぜ…」
「たしかにな…今回ばかりはちょっと難しい問題だな…」
その時急に後ろから声が
「知ってるよ!それ…私もどうしようか悩んでる…」
「かおりちゃん…」
「重森、いいか?これは絶対お前は関わるな!俺達が何とかお前を守ってやる!」
「そんな事出来ると思う?」
「それは…」
「でもさ、かおりちゃん!せっかく幸せになれるって時にわざわざ危険に飛び込むような真似する必要ないよ!」
「相手が相手だけにそうは言ってられないよね?」
三人は頭を悩ませていた。
「とにかく!何時なんどきの為に用心するにこしたことはないな…」
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