第182話 尾行

翌日の放課後、理佳子の通うこの学校に異変が起こる。

校門辺りに不審な男が立っていると生徒達がざわめいている。それは、他校の制服を着た男子学生だった。何やら誰かを探している様子だが、別に特別怪しい行動を取っている風ではなかった。校門を出ていく学生達がみんなこの場違いな男をジロジロ見ながら過ぎていく。

理佳子は例の如く飯田に付きまとわれて二人で校舎を出てきた。本田麻衣はその後から歩いて出てくる。更にその後ろから理佳子と飯田の動向を探るように石井が出てきた。

これは…本田先輩に相談した方がいいかな…明らかにあの二人はおかしいよな…石井は理佳子を心配していた。

そして本田も…理佳子…断れないのはわかるけど、こんなこといつまでもしてちゃダメだよ…もうホントに理佳子ったら~…

理佳子と飯田が校舎を抜けようとするとき、不審な男が理佳子をジッと見つめる。その視線に飯田が気付き男を睨み付ける。不審な男も飯田を睨み付けている。かなり不穏な空気がこの二人を包む。飯田は通りすぎたあと前を向き、また理佳子と楽しそうに会話を続ける。

あの男…誰だ…清水のことをジロジロ見てたなぁ…飯田が理佳子との関係を疑う。

麻衣…助けてぇ…飯田君に何て言えばいい?別にただ一緒に歩いてるだけなのに変に断ったら…何か勘違いしてるとか思われるのも嫌だし…どうしたらいいの?理佳子はこの微妙な距離感に悩んでいた。

不審な男は理佳子と飯田のすぐ後を追う。

この人誰?理佳の知り合い?何で後を追う?本田麻衣は天斗に連絡を取ろうか迷っていた。その時石井が


「本田先輩!あの理佳子先輩の後を付けてる人…見覚えが…」


「え?知り合い?」


「知り合いって言うか…一度会ってます。他校の人で、きっと理佳子先輩の顔を見に来たんだと…」


「何で他校の人が?」


「実は…」


石井は伝説の黒崎とのやり取りを話した。


「なるほど…そういうことね。で、理佳大丈夫かしら?」


「あの人は問題ないと思いますが…理佳子先輩と一緒に居る人が…」


「飯田君?そうよねぇ…理佳ちゃんともの言えないから…多分助けを求めてるのかも知れないけど、どうしたもんか…」


そして飯田と理佳子はいつものところで別れる…と思いきや…


「清水、今日ちょっと付き合え!」


「え?」


「後ろから変な男付いてきてるだろ?このままお前と離れたらお前が心配だ!」


「う…うーん…」


どっちにしても厄介なんだけどなぁ…

そして理佳子は飯田に強引に付き合わされる。不審な男はいつの間にか居なくなっていた。


「本田先輩!僕あの二人追います。なんか嫌な予感がして…」


「え?大丈夫だと思うけど…じゃ、頑張って!」


「はい!」


そして石井は二人を尾行する。理佳子と飯田はそれに気付いていない。

あの人どこ行っちゃったんだ?石井は黒崎と一緒に居たあの男が急に消えたことに不思議に感じていた。

そして飯田は街をブラブラと理佳子を連れて歩いているその時、急に理佳子の腕を引っ張り狭い路地裏に引きずり込んだ。

理佳子は突然の飯田の行動に思わず硬直してしまう。以前、突然教われた時のトラウマがフラッシュバックする。飯田は人気のない路地裏で理佳子を建物の壁に押し付け


「清水、俺と付き合え!最近女と別れてフリーなんだ。な?いいだろ?」


そう言って強引にキスを迫る!

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