第128話 問われる男の器
「それが面白いことに…伝説の男のハゲ武者だとか言われてるって…わけがわからんよな…」
そこで小山内が横から
「ハゲ武者じゃねーよ、それを言うなら落武者だ!」
薫が
「確かに落武者はイメージ的にはハゲ武者って感じだから当たらずとも遠からずだけど…どっちも違う…」
「え?違う?じゃ、何?かおりちゃん…」
「影武者…」
俺は前に駅で誰かが噂してた話を思い出す。俺が…あの伝説の男の影武者…こんな弱っちい男だった俺が…
「でも、変だよな…ここに本物が居るのに何で影武者とか言われるんだ?誰か偽物が本物のフリしてんだろ?そっちが影武者じゃねーか?」
清原が言った。
一方、天斗に破れた石田は
「アイツ…絶対許せねぇ…あの黒崎ならまだしも…何であんな雑魚に俺が…」
「石田君…」
「石田さん…あれから巷では色んな噂が…」
「うるせぇ!あのときはちょっと油断してただけだ…次はあんな奴には負ける気がしねぇよ…」
「石田君…やっぱあんたはそうこなくちゃ!」
ここは石田達がいつも集まるアジト。そこへ
ガチャ…
ドアが開き人影が…
「誰だ?」
「よぉ、久しぶりだな…随分派手にやられたみたいだな」
そこに現れたのは伝説の男、黒崎天斗だった。
「てめぇ!何しに来やがった!」
「いや、俺の女拐さらってって汚ぇ真似してどこぞの何ちゃらに敗北をきっした惨めな野郎を一目拝んでおこうと思ってな…」
「てめぇ!石田さんをそれ以上侮辱すると許さねぇぞ!」
「ほう!どう許さないのかな?」
「……………」
「お前よぉ、俺には女なんて居ねぇぞ?どこからそんなガセネタ拾ってきたんだよ…お前らの情報網も大したことねえなぁ…石田、お前の挑戦ならいくらでも受けてやるよ!だがな、俺が唯一許せねぇのは関係無い奴まで拐って汚ぇ手を使う、その泥にまみれた根性だ!勝ちゃ良いってもんでもねぇだろ?それじゃお前の名前をお前が汚してるってことだぞ?俺がただ一人認めた男がそんな小せぇ奴だったってガッカリさせんなよ…本物の男なら、仲間たちにもその器を見せてやれ!じゃなきゃ、お前の仲間が可哀想だろ?」
「黒崎…うるせぇ!俺に説教するな!お前の指図なんか受けねぇ…」
黒崎は石田の表情を見て何かを察した。
「フン、流石だな!それでこそ俺が認めた男だぜ!それだけ言いに来た…じゃあな!」
黒崎…てめぇ…なんかムカつく…何もかもが格好良すぎるてめぇが…すげぇムカつく…器を…見せる…たしかに…俺はお前にやられてから仲間たちにダセぇ所ばかり見せてきたのかも知れねぇ…俺は…弱くなっちまったのかも知れねぇ…心が腐ってたのかも知れねぇ…悔しいが…お前のお陰で…そしてあの雑魚に敗北したお陰で…見失ってたものをもう一度取り戻せそうな気がする…這い上がろう…こいつらの為にもう一度…
「石田君!あんな奴の言うこと気にする必要ねぇッスよ!」
「なぁ…次は必ず成し遂げよう…あの男の器を超えるために…今度は俺達があの男を倒す!」
「石田さん!格好良いぜ!俺達はずっとあんたに付いてくよ!」
この石田の不屈の闘志に仲間たちは惚れていた。何度打ちのめされても強敵黒崎に立ち向かう姿を…そして、石田は更なる高みを目指す…
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます