第90話 可愛すぎる理佳子
新学期が始まって数日が経つ。
俺はあの時の嫌な夢が頭から離れない。もし俺の目の届かない所で理佳子の身に何かあったら俺は何が出来るだろう…そんな不安にかられる日が続いた。
そんなある日の夜、理佳子から電話があった。
「もしもし?理佳子」
俺は珍しく理佳子の方から電話がかかってきて驚いた。
「たかと君!今度の日曜日って何か予定ある?」
「いや、例えあったとしてもお前を最優先にするから!」
「フフッありがとう!あのね日曜日にそっちに遊びに行きたいの」
「おう!俺はいつでもウェルカムだ!」
「あのね、たかと君…やっぱりいいや…」
「何だよ、もったいぶって…」
「いいの、会ってからにする…フフフッ」
なんか理佳子のやつ随分楽しそうだな…いったい何なんだよ…
「わかった、今度の日曜日何時にする?」
「始発の電車で行きたいの。少しでも長く一緒に居たいから」
「わかった!じゃあ俺も調べておくわ」
「うん」
「なぁ…理佳子…気を付けろよ…世の中物騒だからな…」
「うん。何かあったらすぐ助けに来て」
それが出来たら苦労しないんだよ…この距離じゃあすぐに駆けつけるってことが出来ないからなぁ…
「じゃあ…今度の日曜日な…」
「うん、おやすみ…たかと君」
「おやすみ、理佳子」
そして俺は電話を切った。
日曜日の朝7時、この日はわりと涼しく空気も適度に乾いた気持ちの良いそよ風が吹く秋晴れだった。
俺は駅のホームで理佳子が乗ってくるはずの電車を待つ。
ホームに始発の電車が大きな音を立てて入ってくる。
電車が止まってプシューッと音を立て一斉に電車の扉が開く。
俺は理佳子がどの辺から降りてくるのか姿を探す…それほど人数は多くなかったのですぐに理佳子の姿が見えた。
「理佳子!」
理佳子は少し離れたところからこっちへ向かって手を振りながら歩いてくる。
理佳子の格好は白のブラウスにピンクの丈の長いスカート、そして、つばの大きめのハットを頭に被って女の子らしい姿で俺の前に立った。
「たかと君おはよう」
理佳子は肩にバッグをかけている。
「おはよう理佳子、そのバッグ持つよ」
「ううん、いいの。ありがとう」
俺達は駅を出て歩き出す。
「母さんが理佳子遊びに来るって言ったら、もう喜んじゃって、朝から鼻歌歌ってたよ…」
「ハハハッ、私もおばさんと会うの楽しみだよ」
理佳子は俺の腕に両腕絡ませてピッタリとくっついて歩く。あまりにも密着し過ぎて理佳子の大きな胸が俺の腕に当たってる…まずい…ドキドキしちまう…
しかも理佳子がたまに上目遣いで俺を見てニコッと笑う姿が堪らなく可愛い…
ヤバい…理性が…飛びそうだ…
理佳子…たまんねぇ…可愛すぎるよ…
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