第83話 エリート家族の落ちこぼれ
薫の仲間が10人応援に駆けつけた。
「姉さん、なんか苦戦してんじゃないすか?」
そう言ってバイクを降りて乱闘の渦中に歩いて入ってくる。
重森は息を切らしながら
「来るなって言ったのに、さぁ、さっさと片付けるよ!」
「オッシャー!やるぞみんなぁ!」
応援に来た仲間達もそれに応える。
さすが薫の仲間だけあって全員かなりの手練れだ。三倍くらいに開いた戦力差があっという間に逆転してしまった。どんどん敵が倒れていきおよそ十分後には敵は全員倒れていた。
「ハァ、ハァ、重森…ハァ、ハァ、勝ったな…ハァ」
重森も肩で息をしながら頷いた。
片桐は戦局が悪化し小山内が向かってくるのを見て慌てて一人逃げたしていた。小山内は片桐を追いかけた。そして行き着いた先は片桐達の学校のグラウンドだった。
「ハァ…ハァ…ハァ…ハァ…」
「ハァ…ハァ…ハァ…ハァ…片桐…ハァ…ハァ…ハァ…ハァ…お前…ハァ…ハァ…ハァ…何でわからねーんだよ…ハァ…ハァ…」
「ハァ…ハァ…ハァ…お前が…ハァハァ悪い…ハァ…ハァ…」
「片桐…ハァ…ハァ…あの時俺は…ハァ…ハァ…お前を裏切ったんじゃ…ハァ…ねぇよ…ハァ…ハァ…お前は…間違ってる!ハァ…ハァ…」
「何がだよ…ハァ…ハァ…俺はずっと…ハァ…ハァ…お前の為に全力で…サポートしてきたじゃないか…ハァ…」
それは高校一年入学式、片桐はこの学年で一番頭角を現しそうな男を観察していた。中学時代それぞれが各学校で頭はってた札付きどもを事前にチェックしデータを集めていた結果、小山内清がおそらくここで一番出てくることを予想していた。
入学して間もなくこの新入生による順位争奪戦は勃発した。片桐はすぐに小山内に近づき自分の情報収集能力を見せつけた。そして小山内はあまりの正確なデータ取りに感動する。小山内は片桐を認め軍師と呼ぶようになる。これが片桐にとってどれほど大きな意味を持つか、言った当の小山内には到底理解出来なかった。
片桐の家系はエリート家族。片桐には二つ上の兄がいる。常に勉強はトップで親からは兄ばかりが期待の目を向けられ、片桐はそれを不服に思っていた。片桐の性格はプライドが高く認証欲求が強い。当然認めてもらえないことによるフラストレーションが溜まり道をそれていく。
だからこそ小山内の片桐に対する言葉は片桐にとって今までのフラストレーションを解消してくれるのに大きく貢献することになった。
それから片桐は小山内を自分の頭脳で学年のトップにのぼらせる。
そしてその後、他校から小山内の噂を聞きつけ攻めてくる輩をも片桐の策略でどんどん蹴散らすことに成功する。
成功すればするほど小山内は絶大な信頼を片桐に寄せ、片桐もまたかつて無い程の喜びを実感していく。
そしてある時小山内と片桐が決別する事件へと発展していく。
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