第81話 片桐の罠
5人は駅に到着した。
既に連絡ついた仲間達は全員集合していた。こちらの戦力は合わせて30人。しかし主力メンバーのほとんどが病院に搬送されて実質戦力はかなり落ちている。
俺達は情報を頼りに◯◯駅の中へ入っていく。しかしそれらしき敵が見当たらない…反対側の駅出口に向かって歩いて行った時10人のヤンキーと目があった。その中に片桐が居た!
片桐が小山内達と目が合った瞬間
「小山内!俺はお前を許さねぇぞ!」
「か~た~ぎ~り~!てんめぇ~!」
小山内が怒り心頭に片桐を睨み付けた。
片桐は
「おい、これはちょっと分が悪い…ここは一旦逃げるぞ!」
そう言って踵(きびす)を返して逃げたした。
「待てやコラァ!」
小山内の怒号に俺達は一斉に片桐達を追いかける。片桐達は全員同じ方向に逃げていく。そのとき薫が
「たかと…何か妙じゃない?こういう時本来なら散り散りになって逃げた方が追う側をまきやすいのに…片桐の性格からして…もしかしたら罠?」
走りながらそう言った。
しかし小山内達は猪突猛進に全力で追いかけていく。
500メートル程走ったところで広い駐車場が見えてきた。片桐達は徐々に失速して小山内達が追い付いた。
全員息を切らしながら駐車場の中で立ち止まった。
「ハァ…ハァ…ハァ…ハァ…片桐…お前…ハァ…ハァ…わかってんだろうな!ハァ…ハァ…」
小山内が片桐に向かって言った。片桐も
「ハァ…ハァ…ハァ…ハァ…状況が…ハァ…わかってねーのは…ハァお前の…ハァ方だぞ…ハァ…ハァ…」
広い駐車場の中で真ん中は車がカランと空いていて両脇に詰めて停まっていた。
その車の陰から人影が次々と姿を現す。
「完全にハメられたな…」
薫が言った。
片桐の用意していた伏兵にあっという間に囲まれてしまう!その数おおよそ60人…ざっと2倍の人数を相手にすることになってしまった。
例え小山内の主力メンバーが居たとしてもこの形勢は完全に不利に見える。
俺はまだ実践経験がねぇ…流石にいきなり複数相手の喧嘩で通用するのかどうかわからねぇ…重森をチラッと見た。
「たかと…」
重森は俺の顔を見て小さく頷いた。
そうだよな…俺、身体張ってあれだけ特訓したんだもんな。やれるよな、絶対!
俺も重森に親指を立て頷いた。
「片桐…ハァ…ハァ…お前…ハァ…ハァ…変わらねぇなぁ…ハァ…ハァ…お前はそんなに頭が切れるのに…何で気付かねーんだ?」
「小山内…ハァ…ハァ…お前が…俺を裏切ったんだろうが…俺は全力でお前のことをサポートしてきたのに…」
「片桐…お前は何もわかっちゃいねーよ…仲間は道具じゃねーんだよ…みんなそれぞれ意志があり、価値観もそれぞれ違うんだよ…お前はズレてんだよ」
「小山内…わかっちゃいねーのはお前だよ…俺はお前の為にやってきたんだ。お前が一緒に高見目指そうって言ったから…変わったのはお前の方だろ!」
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