第60話 理佳子、お泊まりします。

「なぁ理佳子、俺の部屋に行かないか?」


「うん、じゃあおばさんちょっと失礼します」


理佳子は母さんにそう言って二人は二階に上がる。


「理佳子…今日…家に泊まって行かないか?」


「え?そりゃ私もたかと君家に泊まりたいけど…お母さんに相談しないとわかんないし…」


「じゃあ電話してみろよ。俺の母さんはあんな感じだから喜ぶだろうし」


「うーん…大丈夫かなぁ…」


「いいからほら、早く電話して」


俺は理佳子に強引に電話させる。

今俺の頭の中はピンク色に染まっている。

理佳子…お前が欲しいんだ。お前の全てが欲しいんだ。今日こそ俺は大人の男になりてぇ…


これは正常な若い男子の当然の生理的欲求である。

そして心から想っている彼女に対してのストレートな感情で決して不純な気持ちでやりたいだけの獣では無いことを了承してもらいたい。


「あっ、もしもし?お母さん…今日ちょっとお泊まりしたいんだけど…うん、あの…黒崎天斗君の家…うん、うん…おばさんにはもう挨拶した。うん、うん、まだ言ってない…」


俺はドキドキしながら待っている。

頼む、頼むぞ!何とか理佳子の母さん説得してくれ!


「うん、わかった聞いてみる」


理佳子は携帯を耳から離し


「たかと君、おばさんに聞いてみてくれる?」


「そんなの聞くまでも無いって!理佳子なら全然大丈夫だ!」


「でも、一応おばさんの許可が出たらって言ってるから…」


「わかった、すぐに聞いてくるって言っといて」


そう言って俺は転がるような勢いで階段を駆け降りる


「母さん母さん母さん!」


母さんが驚いた表情で


「なんだいそんなに慌てちゃって」


リビングから顔を出す。


「今日さ、今日さ、理佳子家に泊めてもいいかな?」


俺は興奮して言った。


「えぇ?そりゃ私は良いけど…理佳ちゃんのご両親に了承得ないとねぇ…」


「良いんだよ!母さん次第なんだってば!」


「そりゃ私は理佳ちゃんなら大歓迎だよ」


「わかった!サンキュー!」


そう言って階段下から理佳子に大声で呼び掛けた。


「理佳子ぉ~、オッケーだぞぉ~!」


理佳子はその声を聞いて母親に


「たかと君のお母さんは良いって言ってくれてるから大丈夫。うん、うん、わかった。じゃあ、はぁいバイバーイ」


そう言って電話を切った。

俺はすぐに理佳子の元に戻っていた。

俺は目を輝かせながら


「理佳子ぉ~やったなぁ~!」


そう言ってベッドに座っている理佳子の横に座り抱きついた。

理佳子も俺に腕を絡ませる。


「たかと君…」


「ん?何だ?」


「おばさんに改めて挨拶してこなきゃ…」


「そんなの後でいいじゃん」


「ダメ!こういうのは先にしておくものなの!」


理佳子は何につけても礼儀を重んじるタイプだ。


「わかった。じゃあさっさと済ませようぜ」


そう言って二人はまた階段を降りる。

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