第54話 お化け屋敷騒動
「ねぇ薫、何から乗る?」
清水理佳子が無邪気にはしゃいで重森薫にそう言った。
「フッ、理佳の好きなので良いよ」
「じゃあ…ジェットコースターから行く?」
「そ…それはいきなり飛ばしすぎじゃないかな?」
小山内が少し焦りぎみに言う。
「もしかして…小山内ジェットコースター恐いのか?」
「んなわけ…あるんだなぁ~、これが」
四人で一斉に笑った。
「じゃあ…お化け屋敷は?」
「それはぁ…」
また小山内が言った。
「もしかして怖がりか?」
俺が挟んだ。
「残念!大好物だ!」
「じゃ、お化け屋敷にしよ?」
理佳子が言った。
「よし、いきなりお化け屋敷入る奴って少ないと思うけどそうしよか!」
俺が言った。
「でもね、小山内君…かおりけっこう怖がりだからしっかり守って上げてね(笑)」
「も…もちろん!かおりちゃん、俺がピッタリくっついて守ってあげるからね!」
「…まぁ、理佳の大好きなお化け屋敷だから仕方ない…」
重森薫は清水理佳子を妹のように大事に思っている。だからたいがい理佳子の言いなりになるのが常だった。
俺と理佳子、小山内と重森薫で二人ずつお化け屋敷の中に入っていく。
目が慣れてないので中の様子が全くわからない。
徐々に目が慣れ始めたとき次々と仕掛けたお化けの人形や隠れていたお化けの格好した人間が襲いかかって来る。
理佳子は俺の腕をしっかり組んでキャーキャー言いながら楽しんでいる。
一方後ろから遅れて小山内、重森ペアは…
「うわぁ~~~、キャッ、やぁ~だぁ~もう~」
と言いながら半分泣きそうになりながら小山内に捕まって重森が歩いてる。
「重森…マジで怖がりなんだな?」
「うん、多分小山内君にべったりになってるよきっと(笑)」
「お前…もしかしてそれが目的か?」
「フフフッ…フフフフフッ」
理佳子わりとやるな…
と思った瞬間理佳子の手が俺からスッと離れ
「キャアァァァァ」
暗闇で何が起きたのかまるでわからない…
「理佳子~!理佳子どうした!」
理佳子の声も姿もない…
俺は不安にかられた…
次の瞬間理佳子が俺の前にスッと現れ
「びっくりした?」
と言って笑っている。
冗談キツイよぉ~…でも、ちょっと可愛い…
た…楽しい…かおりちゃんにめっちゃ頼られてる…めっちゃ楽しい!
小山内のテンションはMAXになっている。
「かおりちゃん、しっかり俺に捕まって!いざとなったら俺がお化け倒してやるから!」
小山内は鼻息荒くそう言った。
「もうやだよぉ~…怖いよぉ~…」
小山内はそっと薫の肩を抱き寄せた。
俺今超幸せ!かおりちゃん何も言わないし、このままお化け屋敷出たくないなぁ~…
次の瞬間薫がおもいっきり小山内の両脇腹をつまんで
「キャアァァァァ~!」
と絶叫した。
痛ててててて…
かおりちゃん…なんて馬鹿力なんだ…まるでピラニアに食い散らかされたかと思ったぜ…
そして四人は無事にお化け屋敷を脱出した。
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