第34話 通じ合う想い

え!?何で!?何で電話切られた!?

いつもはここぞと言うとき決められない俺がおもいっきりバシ!っと決めたってのに…何でこのタイミングで切られる?

ウソだろぉ~…理佳子~…やっぱり理佳子わかんねぇ…




たかと君…私切ったと思ってるかな…かけ直さなきゃ…ちゃんと返事しなきゃ…

でも…手が震えて…あんなストレートに…どうしよう…

理佳子は歓喜のあまり泣き出してしまった。

たかと君…たかと君…嬉しい…私…たかと君のものに…

震える手で理佳子は頑張って通話ボタンを押す。


「もしもし!理佳子…ゴメン…突然あんなこと」


理佳子は俺の言葉を遮って


「たかと君!ありがとう…大好き…ずっとずっと大好きだった。私…私の全ては…たかと君のものだよ…私をたかと君のいいようにして…」


泣いて…んのか?

理佳子…お前…めちゃくちゃ嬉しいこと言ってくれるな…やっぱお前ほんと可愛いよ…


男はこういう健気な女が好きなものである。


「理佳子…」


「たかと君…」


「ん?」


「あの…あの…夏休み…なんだけど…」


「うん…」


「あの…薫と…ダブルデートしない?」


「え?重森と?」


「うん…さっき薫から電話が来て…薫のことを好きな人が居るんでしょ?」


「あっ!そういうこと?いや、確かに居るけど…重森からそんなこと言ったの?」


「うん。薫…その人のこと悪い気はしないって言ってた…でも…」


「でも…何だ?」


「ううん…何でもない」


「そか、重森がそんなことを。重森って何考えてるかわかんないところあるから意外だな…」


「夏休み…そっち行ってもいい?」


「理佳子、ありがとな。理佳子はそんなことを言えるタイプじゃないのに、勇気出して言ってくれたのな。俺、お前のこと大切にするよ」


理佳子はずっと心臓が高鳴り続けている。

しかし黒崎の気持ちを知って自信が付いたのか、わりと冷静になれた。


「たかと君…」


「夏休み、いつでも理佳子の為に空けとくわ。俺の連れにも伝えとく」


「うん、ありがと」


「それじゃまたな」


「うん…」大好き…たかと君…



電話を切ったあと理佳子は黒崎の声の余韻に浸っていた。

たかと君…お前のこと大切にって…

早く逢いたいな、あなたに…

タカ…

猫のタカを呼ぶと、

ミャアオと鳴いて私のところへ来た。私はタカを抱き寄せて

タカ…やっとたかと君と想いが繋がったよ…デートだって…

タカは私の顔をジッと見て私の涙を舐めてくれた。




理佳子~。やっぱりお前は最高だよぉ~!

健気で一途に想ってくれて…でも、あいつそうとう頑張ったな。あんなこと言えるタイプじゃないもんな。

俺も頑張ったけど、あいつ…すげぇ~な!

そうだ!早速小山内にも報告しなきゃ!

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