第32話 理佳子の直感
理佳子は携帯を握りしめたまま迷っている。
たかと君を…私がデートに…誘う…出来るかな…
でも…このままじゃ…ダメだよね…
麻衣の言うとおり…たかと君が他の誰かのものになったら…そんなの…絶対いや!
私…誰よりもたかと君のことが好きだもん…
ずっとずっと…想い続けて来たもん…
かけてみようか…
あのプレゼントの相手が気になるけど…
と、そのとき…また着信音
理佳子は携帯を握りしめていたから着信とバイブで驚き一瞬跳びはね心臓がスギーンと痛む。
握りしめた携帯を自分の胸に押し当て悩んでる。
誰だろ?また麻衣から?それとも全然違う人?
誰?誰々?
恐る恐る着信の相手を確認する…
それは…重森薫
かおり…
「もしもし、かおり」
「理佳?今大丈夫?」
「うん、大丈夫だよ」
「最近たかとから連絡ある?」
「え?無いよ…全然…」
「そっか」
「どうして?」
「んー…ちょっと最近色々あってさ…」
「色々って?」
理佳子の心境は穏やかではない。薫の言葉がずっと引っ掛かっててジェラシーを感じていたからだ。
薫はいったい何を言いたいのだろう…
理佳子~!まだ話し中かよ!随分と長電話だなぁ…
もうあれから30分経ってるのによぉ~…
俺マジで切ねえよぉ…
でも、逆の立場になって考えてみると…あいつ…ずっとこの切ない感情を堪えていたってことか…
俺…には…とても堪えられないな。
その想いの重みを…俺はもっと真剣に受け止めてやらなくちゃ、あいつがあんまりにもかわいそうだよな…
そして俺は不屈の闘志で理佳子に電話が繋がるのを待ち続けた。
「理佳…」
「ん?」
「たかと…凄く理佳のことが好きなんだと思うよ…」
理佳子の鼓動が速まる。
「ど…どうしてそう思うの?」
「時々さ、ふと切なそうな表情見せる時があるんだ…たぶん、そういう時って理佳子のことを考えてるんだと思うよ」
「かおり…」
「理佳…夏休みこっちにおいでよ」
「かおり…」
「夏休みにさ、たかとと会える段取り私がしてあげるから会ってちゃんと言いなよ。今のままじゃ宙ぶらりんじゃん…たかともきっと…同じ気持ちだよ…」
「かおり…」
「もし良かったら、ダブルデートしない?」
「え?」
「私もさ…こんな私にも…真剣に好きって言ってくれる奴が居てさ…そいつがまたけっこう男気があってさ、悪い気はしないんだよね(笑)」
「そうなんだ…」
私にはわかる。薫との付き合いは長い。
薫の中のどこかで何かを隠してる…
何かおそらく自分にも気づかないどこかで薫は自分を誤魔化してる。
それを私は知りたくない。
知ってしまうと…何か歯車が狂いそうな予感がして…
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます