第30話 理佳子のちょっとエッチな妄想

学校祭は終わった。


小山内の死んだような顔を見るのはあまりに忍びない…

結局重森は学祭が終わってから俺達の前に現れた。

俺と小山内と重森の三人で学校を出て歩いている。


「重森ちゃん…どこ行ってたの?」


「………」


重森は相変わらず無表情で歩いている。


「重森ちゃーん、俺じゃダメ~?

さっきの俺の勇姿見たでしょう~?

どんなことがあっても必ず俺が重森ちゃん守るからさ~。」


小山内…この男の中の男に何をそんなに期待してる…

お前が思ってるようなか弱い女子でも何でも無いぞ!

ほんとに人を地獄に突き落とすようなこわーい女なんだぞ…

下手したらお前よりも強いよ…

俺は重森をチラッと横目で見た。

重森は…俺を睨んでいる!

きっと重森の中で…


「お前、俺の秘密バラシたらお前をバラすぞ!」


ひぃーーー!恐ろしい!そういう恐い目してるわ~!

俺はすぐに目を逸らした。


重森はずっと無言だ。


「俺さぁ…重森ちゃんのそういう飾らないところが好きなんだよぉ~、そういう女らしからぬ感じが好きなんだよぉ~~」


小山内…だからそういうのは褒め言葉じゃないって…むしろけなしてるとしか思えんぞ!

もう少し言葉勉強しろ!


空は綺麗な夕焼けで俺達の顔を赤く染めている。

俺は小山内のことよりしばらく連絡を取ってない理佳子のことが気になってしょうがない。

この前重森に言われた言葉が俺の胸を締め付ける…

帰ったらあいつにまた電話してみよ…




その日の夜



理佳子は毎日毎日黒崎のことを考えていた。

理佳子はとても一途で純粋なのだ。

ただ少し天然なだけだ。


たかと君…さみしい…会いたい…貴方に触れたい…

あなたの優しい笑顔を見たい…あなたの頬に触れたい…あなたの声が聞きたい…

あなたの…唇…


理佳子は妄想の世界に耽っていた。


清水…俺、実はずっとお前のことが好きだったんだ。お前が欲しい…俺のものになってくれ!


たかと君…私もずっとずっと好きだったの…たかと君が…毎日毎日あなたのことばかり考えて…勉強も手に付かなくて…


た…たかと…君?


たかと君が私を優しく抱き寄せて…

たかと君の唇が私の唇と重なり合って…私の全身の力が抜けていく…

私もたかと君の首に両腕を回して…

とろけるような甘いキス…

この時間が永遠に続けば良いのに…


ちょ…ちょっと待って…たかと君?


たかと君は私をベットに押し倒して…けっこう強引…でも…たかと君の為に私の全てをあげるわ…


理佳子はベッドに横たわり自分の手で自分の胸に触れて吐息が漏れる…


たかと…君…


その瞬間着信音…


ビクッ!


理佳子は妄想から一気に現実に引き戻された。


誰?こんなタイミングで…


理佳子は携帯の画面を覗く…

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