第22話 重森の不審な行動

そうは言っても問題は恐い人達に付けられているってとこだよな…

もし佐々木と一緒に居てそんな奴らに絡まれたりしても…俺は何もしてやれねぇ…

小山内に相談したいけど俺のこと本物黒崎と思い込んでるしなぁ…

それはそれで逆にマズイ…

ちょっと情けないが重森に相談してみるか…


翌日の昼の休み時間に俺は重森を屋上に誘い出した。

この日も空は快晴で乾いた微風が吹いている。

重森が校舎の屋上に現れた。

重森は太陽の光に眩しそうなしかめっ面で


「どうした?」


相変わらず無愛想な表情でそう言う。


「あっ、悪ぃな呼び出しちゃって」


「別に…」


「あ…のさ…ちょっと相談したいことがあるんだけど…」


俺はどう切り出していいか悩んでいると、


「フッ…あの女のことでしょ?」


重森は吐き捨てるような口調でそう言った。

俺は理佳子のこともあるので少し気まずかったが


「まぁ、実はそれなんだけど…」


「あんたはバカだねぇ…もう少し見込みある男かと思ったけど」


俺は重森が理佳子のことを言ってるのだと思い


「い…いや…何て言うか…」


しどろもどろになっていると


「あんた今日学校終わったら付いてきな」


そう言ってクルっと踵きびすを返し行ってしまった。

俺は何がなんだかさっぱりわからずその場は教室に戻ることにした。

重森はまだ教室に戻っていない。

休み時間が終わる間近に重森が教室に入ってきた。

俺の横の自分の席に座り前を向いている。

俺はそーっと重森の顔を覗いたが完全に無視だ。


その日の授業が終わりいつものように佐々木が俺の所へ駆けて来たが


「悪ぃ、今日ちょっと用事あって…悪いけど一人で帰ってくれ」


「えぇー!やだぁ…じゃあ友達と帰るね、バイバーイ」


実にアッサリ行ってしまった。

そして俺は重森に付いていく。


「なぁ重森…いったいどこ行くんだ?」


二人は学校を出て駅に向かい電車に乗り二駅先で降りる。

そしてバスで10分ほど走った所で降りた。

そこから少し歩いたそこはこの街の繁華街で夜の時間帯に賑わう場所だった。

その繁華街の中を俺は重森に連れられ歩いていく。

重森はずっと無言だった。

周りにはホテルなどが建ち並び怪しげな風俗店も目に飛び込んでくる。

俺は何故重森がこんなところまで俺を連れてくるのか全く意図がわからない…

そして重森が細い路地に入った所で立ち止まった。


「なぁ重森、こんな所まで来て何があるんだよ」


重森が人差し指を鼻の辺りに上げて俺を睨むような表情で


「シーッ」


と俺を制止した。

辺りは薄暗くなっている。

そして俺はそれ以上何も聞けず重森と二人でただ時間が経つのを待っている。

そして俺達のいる反対側の路地から男と女の人影が…

俺は息を飲んだ…その男女からはこちらが見えない所に俺達は隠れている。

そこにいる人影の一人が佐々木日登美だった。


し…重森…お前…いったい…何を知ってるんだ?

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る