Opening06―意外な一面

 日常パート二日目。エルゼンがタービンを相手に指名したことで、二人のロールプレイが始まる。


GM:指名されましたが、タービンさんは何をやっていますか。

タービン:運転席で運転技術を磨こうかと更に頑張っているところかな。

GM:じゃあ、場所は運転席だね。試しに軽い試運転を行ったりして動作確認を行っているところでエルゼンさんがやってくる。

エルゼン:「列車が動いていますけど、今はなにをやっていらっしゃるのですか。」

タービン:「今は列車の操作練習と確認をやっているんだよ。やっぱり列車が変わると操作に若干の違いがあるからね。」

エルゼン:「そうなのですか。そんな動きって変わるものなんですかね。」

タービン:「例えば、マスコンでもただ倒すだけのものもあれば、手前に引っ張る棒状のものもあるんだよ。」

エルゼン:「な、なるほど……?」

タービン:「更には左手で持って右に傾ける角度で速度が変わったりするものもあるから。」

エルゼン:「は、はあ。私にはあまりよく分かりませんが、テンダーさんはここに来る前にもよく列車に触っていたということですか。」


GM:(専門知識出されるとついていけねえ。)

エルゼン:(それな。)

ドジソン:(でも、すげータビットっぽくていいロールプレイな気がします。)


タービン:「ボクは町工場の出身で、そこでよく触っていたんだよ。」

エルゼン:「なるほど。実際に走らせている運転手ではなくて、ということですか。」

タービン:「そうだよ。試運転だね、客無しで運転してたんだ。」

エルゼン:「開発のほうなんですね。」

タービン:「修理や整備もやってたかな。タイヤを直したりとかマスコン直したりして、上手く動くか確認したりね。」

エルゼン:「それで、どうして冒険者なんかに。そのままそちらに就職すればよかったと思うのですが。」

タービン:「いやー、ボクは運転士になりたかったし、家から魔法もできて戦える運転士になれって言われてたから頑張ってたんだ。」

エルゼン:「す、すごい家系ですね……」

タービン:「普通は居ないと思うよ。」

エルゼン:「じゃあ、修行をしたら一度実家に帰るのですか。」

タービン:「そうだね。冒険者として名を売れば、ボクの家のほうも仕事が増えるだろうからさ。収入も増えるんだよ。」

エルゼン:「そうなったら実家に帰るのが楽しみですね。」

タービン:「だからここで運転士として、冒険者として頑張っているんだよ。」

エルゼン:「では、列車のほうはよろしくお願いしますね。これからお世話になります。」

タービン:「うん、安全運転を心がけるよ。」

GM:嘘つけ!

PL一同:(笑)

タービン:最初から安全運転だよ(笑)。

エルゼン:「その台詞が聞けて安心しました。」

タービン:「大丈夫、街中は法定速度プラス10キロぐらいを目指すから。」

GM:この後エルゼンが悪夢をみることになるとは、このとき誰も予想していなかった。

エルゼン:(笑)

タービン:線路増えてからじゃないと暴走しないよ。危ないからね。

GM:そういう問題なのか……?

タービン:複線ドリフトとかできないじゃないか。

GM:もういいよ(笑)。


GM:じゃあ、またこのロールプレイの感想を聞くかな。えーっと、ダイスの結果は……またドジソンか。よろしく。

ドジソン:ええ、また私なんです!?ま、まあ、タビットっぽくて好きですよ。

ベルク:専門知識とそこへのこだわりとかね。

タービン:(笑)

ドジソン:PL知識込みでタビットっぽさを演出できてるのがすごい。

タービン:調べまくったからね。

GM:とりあえずそこを踏まえて評価していくよ。


【GMからの評価】

・エルゼンからタービンに対して"声援"を送る権利を1回分獲得。

・タービンの「機関士(エンジニア)Lv5」が1レベルアップ。


GM:では、次行きましょう。ドジソン君、出番だよ。

ドジソン:僕か。

GM:貴方は何の技術を磨くのかな。

ドジソン:うーん、どうしよう。貴族(ノーブル)ぐらいしか持ってないんだよね。機関士(エンジニア)とか、復元師(リペアラー)とか……?とりあえず、ピアさんに煤だらけになりながら色々教わっています。

GM:じゃあ、そういうことにしよう。

ピア(GM):「一番重要なのはエンジンなんだけど、次に重要なのは車輪ね。ここが摩耗して壊れやすいから、点検の時は重視されるわね。」

ドジソン:「う、うん。わかったよ。」

ピア(GM):「本当に大丈夫かしら。」

ドジソン:「だ、大丈夫だよ。えーっと、メモメモ……どこやったっけ。あ、あったたあった。」

ピア(GM):「聞くけど、君はなんでそんなに落ち着きがない態度なの。」内心不安に思っている。

ドジソン:「そう言われても、昔からだからなぁ。家出したときに色々あって、それで家でもそわそわするようになったから、癖になっちゃったのかも。」

ピア(GM):「貴方の課題はそのそわそわを無くすことね。いざというときにそんな様子だと、簡単に大きな事故が起きてしまうわよ。」

ドジソン:「わ、分かりました!」ピシッと敬礼します。

GM:じゃあ、ランプがガタガタと揺れます。

ドジソン:また挙動不審になりながらランプを押さえています。

GM:ひどい。それじゃ外に出れない(笑)。


ピア(GM):「他の人と打ち解けあって、そういう不安なところが無くなっていくといいんだけどね。」

ドジソン:「ど、努力するよ。い、いや、努力します。」

GM:ランプについては疑問に思ってるけど、詮索はせずに去っていきます。


【GMからの評価】

・ドジソンが「復元師(リペアラー)」を1レベルで取得。


GM:いつになったらエルゼン以外に扉の小魔のことがカミングアウトされるんだろう。

ドジソン:戦闘になればデーモンルーラーであることが分かるし、遅かれ早かれそこでバレるんじゃないかな。

GM:このメンバーがデーモンルーラーのことを知っていればだけど。

ドジソン:それは……うん(笑)。


GM:次はテオドールさん。何をされますか。

テオドール:私はベルクとの交流がしたいかな。

GM:あ、ベルクさんですか。どうぞどうぞ。

ベルク:お?

GM:ベルクさんは街を散策してるという話だったから、ダイスを振ってもらえるかな。日常イベント表をロールしよう。

ベルク:はーい。3,6が出たよ。

GM:面白いのが出たね。ベルクさん、君は博物館の展示を観に行っているよ。

テオドール:は、博物館……!?

ベルク:博物館。え、待って。予想外。

GM:貴方が興味のあるものなので、何の博物館か自由に決めていいよ。

ベルク:そういうことなら絵画で。

GM:絵画の展示会かな。偶然にもテオドールさんと鉢合わせます。

テオドール:いや、テオドールはそこ絶対に行かなさそうなんだけど(笑)。

PL一同:(笑)

GM:じゃあ、ベルクさんがそこに入っていくのを見かけて声を掛けたことにしよう。それじゃ駄目かな。

ベルク:そ、そうしよう。入るところだったらまだ、ね。

テオドール:入るところな。うん、それで。

ベルク:「こういう展覧会があったんすねー。面白そうだから入ってみるっすかね。」

テオドール:と、そこに食材を抱えたテオドールが。

PL一同:(笑)

GM:なるほど、それがしたかったのか(笑)。だそうですけど、ベルクさん。

ベルク:「お、テオドールさんじゃないっすか!どうしたんすか……って食材抱えてるっすから買い出しっすか?」

テオドール:「あいつらまともな食事をとっていないだろう。特にタービンは煙草しか吸っていないからな。」

GM:その通りかもしれない。

ベルク:「そ、そうなんすか!?それはさすがに身体に悪くないっすか……」

テオドール:「ま、軽食でも作ってやってくれと言われたものでな。」

ベルク:「あ、料理できるって言ってたっすもんねぇ。」

テオドール:「俺は簡単なものしか作れないが。」

ベルク:「いつか簡単なものでも料理教えてほしいっすねぇ……」

テオドール:「教えられるほどの腕前はない。とはいえ、これだけの人数が集まったのだから料理できるやつが一人や二人ぐらいはいると思ったんだがな。」

GM:そう、居ないのである。


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※深刻な料理人不在

 GMはキャラクター作成時に、一般技能はどれを持ってきてほしいかという告知をしていた。そこにはもちろん、料理人(コック)が入っていたのだが……蓋を開けてみれば、誰も取ってきていなかった。

 しかも、ドジっ娘メイドと世間知らずのお坊ちゃまという明らかに料理を作るのに向いていなさそうなメンバーが揃ってしまうという有様。テオドールが渋々Lv3だけ取ってきた結果、こんなギャップ萌えが出来上がってしまったのである。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


ベルク:「私、料理できないっすからねぇ。」

テオドール:「屋敷で働いていたのではなかったのか。」

ベルク:「主人に振舞ったっすけど、色んな色になってて。」

GM:色んな色になって!?

テオドール:「ちゃんとレシピ通りに作ったのか。」

ベルク:「レシピ通りにやってるつもりっすけどねぇ。」

テオドール:「つもりでは駄目だぞ。」

ベルク:「も、申し訳ないっす……」

テオドール:「どこが悪いのかは一度見てみれば分かるだろう。普通はそうはならないからな。」

GM:そりゃそうだろう。

テオドール:「まあ、博物館をゆっくり見てこい。お前が帰ってくるぐらいには食事の支度は済ませておこう。」

ベルク:「はい、わかったっす!また後で。」

テオドール:「ああ。」と黙々と食材を抱えて去っていきます。

GM:その食材、絶対に山盛りだろ(笑)。

テオドール:たぶん。

ドジソン:真顔で持ってるのが想像できる。

GM:いいね、こういうギャップ好きだよ。

テオドール:真面目だから。

ベルク:かたや、ニコニコ顔で手を振って博物館の中に入っていくね。

エルゼン:手伝え……手伝え……荷物持ち手伝え……

ベルク:一応、昨日貰った雑誌に書いてあった名所巡りだから。自分の目で見ないとね。

エルゼン:なるほど。


【GMからの評価】

・テオドールの「料理人(コック)Lv3」が1レベルアップ。

・ベルクがこのセッション中、芸術系の一般技能の判定の達成値に+1のボーナス修正。

・ベルクからテオドールに対して"声援"を送る権利を1回分獲得。


GM:ベルクさんがテオドールさんの意外な一面を見れた回だったね。

ベルク:意外と皆の体調のことを気にしてるなと。

ドジソン:もうキャラが立ってて凄いな。

テオドール:やったー。


GM:残りはシアさんだけど、何をしますか。また探索に出る?

シア:探索でもいいんだけど、出来れば路銀が稼ぎたいな。

GM:路銀?

シア:うん。実は理由があって……

GM:一体なんだろう。

シア:ベルクが杖を失くしたけどお金が無くて買えないって言ってたから、買ってあげたら喜ぶかなって。

ベルク:そういうのは本人に言ってからやって!

シア:えー。サプライズのほうが盛り上がるから言わない。

GM:じゃあ、アルバイトかな。手品師でお金を稼ごう。2d6+手品師(プレスティディジエイター)で判定をどうぞ。


【判定結果】

シアが出目7を出して、達成値は12。


GM:ほうほう。では、一日掛けてストリートパフォーマンスをして、120ガメルをおひねりとして貰いました。

シア:よし。杖を買ってベルクのところに行こうかな。

GM:せっかくだから次の日にロールプレイとしてやったらどう?

シア:なるほど。じゃあ、三日目でいいや。

GM:これで二日目も無事に終わりだね。


(次回はいよいよ最終日、三日目の日常パートが始まります。)

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