第103話 じわじわ来る現実、沈黙する夫。

 前回のおちょく……ゲフンゲフン、事実をつぶやいてTwitterの相互フォローをブロ解されたものの、ブロックまではしなかったみたい模様。

「しばらくコロナのことをつぶやくの辞めます。反ワクチンと推進派は水と油だ」とつぶやいてた。


 その舌の根が乾かないうちに厚労省のワクチン接種を推奨するツイートに「やだ」とお子ちゃまなリプをしていた。ワクチンに村を焼かれたのか? と聞いたら「焼かれたでいいよ!」


 いやいやいや、お正月には新年会言ったでしょ。あるじゃん。


 コロナ関連の悪口は言わなくなったが、口もほとんど聞かずにYou Tube三昧(なお、私の前だと趣味動画を観てる)反ワクチンノーマスクだから飛沫を飛ばさないようにしているのか、私に愛想尽かしてるのか。そしてこっそりネトウヨ動画や虎ノ門ニュースは見ている模様。今回のことでネトウヨが本当に嫌いになった。ろくな検証せずに垂れ流すなっつーの。


 そんな時、私が入院する予定だった病院から連絡がきた。


「今回の入院は無期延期にさせてください。病床がひっ迫しています」


 予想はしていた。私の手術は良性腫瘍の除去だから命に別条はない。真っ先に後回しにされると覚悟はしてた。


 普通は放置可能な腫瘍だが、おかしな場所にできたから、何かの拍子でぶつかったり、靴によっては当たって痛いので、切除を希望していたのだ。

「わかりました。ピークアウトして収束したらまた予約します」と答えて、夫にも「入院が病床ひっ迫しているという訳で無期延期となった」と答えた。


 ニュースで報道されていた病床ひっ迫、医療崩壊が都内だけではなく、S県にも身近に迫っている。


 もしかしたら夫は遠い出来事として傍観し、「俺は罹らないよ」とドヤ顔してた謎の安全性バイアスが崩れかかっているかもしれない。相変わらず沈黙しているが、ノーマスク。


 私はコッソリというか、堂々と経口補水液にフルーツゼリー、スープ、タイレノール、咳止めを買い揃え始めた。どうせ、食品は何もなくても真夏までには飲み食いするし、女性だから鎮痛剤は使うし。咳止めくらいかなあ、使うこと無いのは。夫は普通の風邪でも空咳が続くからその時に使わせよう。


 でもワクチンは「長期データが無いからわからない」と言い打つ気はないらしい。


 罹患したら後遺症の長期データが無いから、そっちが危険と私は思うが。入院が決まった際の主治医との雑談からして私は動脈硬化を起こしやすい家系らしい。実際に脳ドックで「わずかに動脈硬化の傾向が見られる」と書かれるようになった。

 コロナに罹患して後遺症で血栓ができやすくなったら、いつ祖父や父みたく脳疾患で倒れるか分からない。二人共60代ちょっとで発症して倒れていた。ちなみに祖父は不明だけど父は低血圧でした。


 多分、これを言ってもいつもの「大丈夫だよ、騒ぎ過ぎ」と謎の安全性バイアス全開で言うのだろう。私にうつすリスクは何十回も話した。インフルエンザですらしんどかったこと、幼稚園児の頃に肺炎になって苦しかったことも話した。

 しかし、ASD疑いの夫には想像力が著しく欠乏している。自分のことしか考えられない特性なので私はもちろん、周囲の目も気にしない。そして、短期記憶障害のため話したことすら覚えてないだろう。

 糠に釘打った方がまだ手応えあるのではなかろうか。ASDがこの手のモノに染まると如何に厄介か痛感するのであった。

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