第86話 北海道、夫注意報解除。そして、とある信者と自称する。

 帰ってきた夫、なんか沢山土産を買ってきたが、実家と職場と自宅をどれとどれにするかわかんないというのでリンゴと桃以外は手を出してないです。


 旅行は最初の数日間は店がどこもやってなくて、「セイコマのお惣菜で部屋飲みしてた」そうです。

 そりゃ、田舎はただでさえ閉まるの早いし、緊急事態宣言中なら尚更だわな。札幌は行かなかったみたい。


 では他の日は? 聞くとまた怒るので聞かないことにした。そして「コケないから大丈夫」と謎の自信で言ってたくせに肩に大きな青あざ(治りかけ)があった。


「夫君、肩の大きなあざ、コケたな」


「……」


「ふむ、位置と手のひら以上の大きさと色合いからして何らかの急ブレーキをかけてそこの部分に衝撃がかかったと見た。ぶつかったのなら骨折であざでは済まない。大分、黄色くなってるから一週間以上前のあざ、つまり旅の初期にやからしたな」


 夫、苦笑い。この人は言い当てられると苦笑いする癖がある。


「で、再三コケても搬送先ないと警告したでしょ。まったくもう。医者には行ったの?」


「行く暇なかった」


「なんでよ、完全なフリープランなのに? 保険証忘れたか? 山の中で医者以前に民家が無いところを走ってたの?」


「……」


 怪しい。しかし口を割らない以上はここまでだ。私のホームズ力は足りない。


「で、伊豆旅行行かないのね」


 話逸らすな。


「あなたがワクチン打たないと行かないと答えた。それは変わらん。アレルギーで打てないのだったら仕方ない。個人的には好まないが宗教上の理由で打たないまでがギリギリのラインだがどっちでもないでしょ」


「ああ、いいよ、もう。宗教上の理由で打たないよ!」


 出た。「都合悪いと拗ねる技」私は容赦無く畳みかける。


「無宗教じゃなかったっけ? 前にそう言ってたから神社やお寺の参拝も付き添い程度だったでしょ。神社禁忌の宗教でもないでしょ」


「……」


「ああ、わかった。T田K彦教、または○ノ○ニュース教ね。毎日説法(動画)見聞きしてるもんね」


「毎日じゃ無いよ!」


 ツッコむところ、そこ?! とにかく頑なにワクチン打たないそうだ。


 で、私が県をまたいでライブへ行ったことを責めるがこっちは抗体ついてるんだ。一緒にするない。


 で、これ書いてる部屋で夫は説法聞いてます。とほほ……。


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