第31話 米大統領選、始まる
この頃にはあまりCNNは見なくなっていたが、いつの間にか大統領選が始まっていた。
国内の新聞も国際面は毎日のように取り上げてたし、夫は夫で例のニュース見ては「バイデンはダメだ、バイデンはダメだ」とどっかの魔法使い小説のセリフのようなことを連呼するようになった。
例のニュース番組でも米大統領選の矛盾だったかなんか言っていたし、2chまとめサイトにも「死者の名前で投票」「トランプ氏の票が秘密裏に埋められた」「バイデンは不正行為をしている」と怪しげな情報が飛び交っていた。
夫は信じていたのだろう。だからTwitterにもバイデンはダメだ的なツイートが増え始めていた。
あとはコロナは中国がやらかして漏らしたウイルスだが、その混乱に乗じて世界中を経済的に乗っ取ろうとしているともなんか言っていた記憶がある。
「これは武力の無い戦争だ」とかなんとか。
しかし、ちょっと前の中国人による爆買いは個人レベルでもあったから今更な気がする。人海戦術にて金持ちが買い占めるって、かつてバブル期の日本もやってたから。金が溢れるようにあるなら金持ちは買い漁る(偏見)のが人間、特に成り上がりはそうだ。
やはり夫の頭の中では「ディープエステート(闇の政府)」が「中国」に置き変わっただけの陰謀論に染まっている。厄介なことにディープエステートと違って中国は実在する。それにあの国は共産党による独裁国家だから何をやってもおかしくは無い。
それが、このハマった陰謀論を私が手こずっている理由だ。
仮に生物兵器だろうと研究所のやらかしだろうと、あの中国が認めるわけが無い。否定も肯定もできない。
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