第21話 Cocoa通知があるというと迅速だ
最初の電話ではサボりではないかと疑われたような微妙な空気だったが、追加報告した途端に電話口向こうの空気がガラリと変わったのを感じた。
夫は相変わらず「コロナは風邪」「簡単にかからないよ」という主張なので返事も「疲れが出ただけではないか」と素っ気ないものだった。結婚して数年経つとこんなものなのね。と布団にくるまって相談センターが開くのを待った。
S県のシステムはわかりにくい。電話をしたら「S市だけこちらではない」と言われてしまった。検索するもわかりにくい。そして、S県はコロナウイルスの問い合わせがLINEであった。
私は今やマイノリティになった「頑なにLINEやらない」人だ。外国産アプリはハッキリ言って信用していない。データが抜かれるという噂もある。
ちょっと違うが政府がとある外国メーカーPCやタブレットについて「ある仕掛けがされていたことが判明したので公用には使わない」と排除したこともある。
このままLINEやらない人にしたかったが、自治体が採用しているなら仕方ない。
LINEに入会し、それに従い、S市の保健所へ電話した。
症状は七度二分の微熱であったが「Cocoaに通知があった」と告げると素早い対応であった。
「あなたの住所の最寄りの検査可能な医療機関を探し、後ほど案内します」ときた。
もし、微熱だけならこんな素早くなかったのだろう。
Cocoaはすごいと思ったなあ、この時は。
そして職場から濃厚接触者がいないかどうかの確認電話がきた。
お昼はぼっち飯、ドアノブやスイッチは非接触グッズ活用、エレベーターは使わず階段オンリー、常時マスク着用なので濃厚接触者無しと判断されました。
普段から鉄壁のガード対策して正解だった。ただ、ドアによっては足で明けていたのは内緒だ。
お昼前、検査機関が決まった連絡がきて間もなく不機嫌な夫が帰ってきた。
「濃厚接触者だから帰らされた」と一言。顔には「ただの夏バテだろ? 大袈裟な」と明らかに書かれていた。
「カーシェアリングしてきたから、病院まで送る」という提案に私は反対した。
「そんな公共の乗り物に感染病疑いの私が乗るわけにいかないよ」
「ここから医者まで何で行くつもりだったのさ」
「自転車。七度二分なら漕げるよ」
「あのさあ、病人をチャリで行かせて俺が家にいたらどうなるのか考えてくれよ。奥さん送っていけと上司にも言われたのだから! 俺の立場も考えろよ」
愛情によるものなのか、世間体によるものなのか困惑したが噴霧式エタノールが一本あったのでそれで車内を吹きまくるということで手を打ち、検査機関へ向かった。
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