冬知らず

あなたの前に花を飾って

部屋に籠って微睡まどろんでいる

夕に閉じた花の匂いは

夜になっても香っている


時知らず咲け 言葉の蕾

空知らず描けよ


風に揺られ、やがて落ちて花殻は散ってゆく

拾い集め溜めた思い出に

ただ浸かっていたい 

描いていたい


錦織りなす秋の山を

蛙は知らず微睡んでいる

疾うに去った秋の風は

今になっても薫っている


冬知らず、咲き惑う、花風

いざ知らず描けよ


時は過ぎて、やがて忘れた頃に

芽吹いてゆく冬を越して咲いた思い出を

ただ眺めてみたい 

描いてみたい

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