孤影ダイバー

眠る前に一つ話をしよう

暗い、暗いベッドの上で

瞑った目の奥 思い浮かべて

僕の話を


世はいつでも一日で終わる

ほら、もう月夜が近づいて

楽しい話も 悲しい話も

眠るためにあるんだ


白い海の底、独りぼっちの影が泳ぐ


このままやっと眠りについたら

僕らはもう一度いつかの夢を見ていたい


そのまま夜を越せたらいいよな

だからさ、話をしよう


夜半よわ、悲痛でも忘れたら終わる

暗い部屋、枕を濡らせば

余話も弱く草臥くたびれて朽ちるから


夢の中で、僕には目もくれず

イルカが飛んでいる

場面が変わる

独りぼっちの影が泳ぐ


このまま深く沈んでゆけたら

僕らは重苦しい酸素ボンベを捨てたい


アラームで目が覚めてしまう前に

悪夢で起きてしまわぬように

僕が楽しい話をしてあげるから


このまま深く眠りに落ちたら

僕らはもう一度いつかの夢を見ていたい


そのまま夜を越せたらいいよな

だからさ、おやすみ

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