8/3 一封、君へ

ある晴れの日、君に出会いました

風に飛ばされそうな

麦わら帽子を憶えています


明け方のラジオはやけに騒がしい

広場に集まる子どもたち

忘れることなど露ほど知らず

走っている


窓際の花びら一つ摘んで

黄色の笑顔を待っています

忘れることなど出来ないから

迷っている


ああ、死んだら忘れるのは声だって

ああ、無口な君を忘れていく

いつか手紙に書いた文字の列だけが

僕と君をまた会わせてくれるのだ


ある雨の日、君と笑いました

蝉の鳴く声だけが

僕らの耳に時雨しぐれている


木のくれしげしが風に揺られて

夏の訪れを詠っています

忘れることさえ出来れば

なんて思っている


ああ、時間が経つ毎に忘れていって

何でそれが自然だって言えるのだ

いつか思い出になってしまうその前に

この想いを詩にして君に届けるのだ


窓際の花びら一つ摘んで

黄色の笑顔を想っています

忘れることなど出来ないから

僕はまた君を描いている


言葉を君だけに書いている

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