鞄にエフェメラ
夏のはじまりを僕の瞳は映していた
陰ろう記憶を思い返している
鞄の中に詰め込んだあの日の陽炎は
ゆらりと揺れて、あなたは
一日限りの
少ない命で歌うのは
この夏を閉じ込めたいと願うから
あなたに貰った手紙、古い映画のチケット
散らした部屋の片隅にぽつりと飾られている写真
それらを鞄に放り入れ、また一つ何か忘れていった
陰ろう記憶とあなただけ
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