第31話 お前もまさしく、友だった。
相棒と俺はすれ違う。
俺はムカデの頭の方へ。相棒はムカデの尾の方へ。クールタイムは終わったのだ。
ムカデの頭の横を走りながら、目をしっかりと見る。
《邪眼LV4》
見つめ合うムカデと蛇。
《邪眼》
そして二人の時は止まる。ロマンスの香りなど微塵もない。
再び俺とムカデは《邪眼》にかかり、悶えるように身を捩る。しかし今度は、ムカデの震えが深刻だ。
《毒牙》
《毒牙》
《毒牙》
相棒が、俺が《突貫LV2》して《噛み砕》いて甲殻を剥がした部分に《毒牙》で毒を注入していく。
いやホント、相棒ってめちゃくちゃ素速い。怒られるのを覚悟で《解析》レベル上げた後にSPDを見てみたい。
限られた少ない時間の中で、俺が甲殻を剥がした三か所すべてに毒を注入しやがった。
それを見て取った後、ようやく俺は動けるようになった。ムカデは毒で苦しいのか、頭を左右に振っている。
今だ。
俺はムカデの頭部に
《突貫LV2》《噛み砕くLV8》《毒牙LV7》
し、
《巻きつきLV6》、
相棒は俺が巻きついた尾の下に
《蜘蛛糸》《蜘蛛巣》《操糸》
をかけて動きを制限する。
ムカデはわしゃわしゃと無数の足を動かしながら、俺を振りほどこうとする。
しかし俺が巻きついているおかげで、足の半分は地を離れている。力なんて入れようがない
永遠を誓った恋人に深く接吻しながら抱きしめるように、俺はムカデの頭に《毒牙LV7》を深く突き立て続け、全身全霊で《巻きつきLV6》で絞める。
相棒は《蜘蛛糸》の粘着性でムカデの背中に足場をつくり、また甲殻が剥がれた部分に《毒牙》を突き立てる。
俺の背で振り回され続けそれを楽しんていた相棒は、弱ったムカデがいくら身を捩ろうと振り落とされることはない。
余裕かと思っていたが、俺は俺で予想外の窮地に立っていた。
ムカデ同様、俺の腹は鱗に覆われていない弱い部分だ。そこにムカデの無数の足が刺さっている。
しかもこいつ、相棒の脚と同じく《毒爪》持っていやがった。
俺と相棒はムカデに牙で毒を流し、ムカデは俺に爪で毒を流している。
それでも耐えられたのは、相棒がくれた《毒耐性LV5》のおかげだろう。
徐々にムカデの動きは緩慢になっていき、終には静止した。
《残心》がある俺は、牙も巻きつきも離さない。
相棒は8つの持っている目の6を不等号にして、
> <
必死に牙から毒を流し込んでいる。
残る二つで冷静にムカデを観察しているのが、お茶目かつクールな相棒らしい。
――復讐を完了しました――
―一時的ステータス向上を終了します―
―復讐達成ボーナスが付与されます―
てれれってってってー!
レベルが上がった!
各基礎能力が向上した!
てれれってってってー!
レベルが上がった!
各基礎能力が向上した!
てれれってってってー!
レベルが上がった!
各基礎能力が向上した!
てれれってってってー!
レベルが上がった!
各基礎能力が向上した!
《邪眼LV4》が《邪眼LV8》に上がった!
《噛み砕くLV8》が《噛み砕くLV10》に上がった!
《噛み砕くLV10》は《破砕牙》に進化した!
《噛み千切るLV7》が《噛み千切るLV8》に上がった!
《突貫LV2》が《突貫LV3》に上がった!
《毒牙LV7》が《毒牙LV10》に上がった!
《毒牙LV10》が《蛇毒牙LV1》に進化した!
《巻きつきLV6》が《巻きつきLV10》に上がった!
《巻きつきLV10》が《締め付けるLV1》に進化した!
《瞬発LV6》が《瞬発LV8》に上がった!
《毒耐性LV5》が《毒耐性LV8》に上がった!
《三角蹴り》が《稲妻蹴り》に進化した!
《思考加速LV2》が《思考加速LV3》に上がった!
これによりスキル《並列思考LV1》を獲得した!
「やったか?!」
「おいフラグ立てんな」
相棒がタチの悪い悪ふざけをする。たまたま勝てたんだぞ?
レベルアップで全回復したとはいえ、冗談じゃねぇ。
フラグ? 何やねんそれ、と呟きながらムカデの背からぴょいと降りる。
右前の手を上げる。俺は尻尾でそれを叩く。不思議なハイタッチ。
「さて相棒!」
「応よ!」
《蜘蛛巣》《蜘蛛巣》《蜘蛛巣》《蜘蛛糸》《蜘蛛糸》
《蜘蛛巣》《蜘蛛巣》《蜘蛛巣》《蜘蛛糸》《蜘蛛糸》
《蜘蛛巣》《蜘蛛巣》《蜘蛛巣》《蜘蛛糸》《蜘蛛糸》
《蜘蛛巣》《蜘蛛巣》《蜘蛛巣》《蜘蛛糸》《蜘蛛糸》
ハイテンションで相棒が、俺と相棒、ムカデが入るように広範囲に蜘蛛糸を張っていく。
「「寝るぞ!!」」
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