第25話《報復と報?》
「おい! 相棒! おい!」
急いで這いより声をかけるが、応えはない。
しかし、息はある。息はある……!
何があったのかは、訊く必要が無い。
周りの死体はすでに温度も生命も失っている。だから《第三の目》にも警戒を促す《察知》にも映らない。
しかし、相棒の周りには散乱している魔物の死体が、視力の弱い蛇の目にも見える。
そこには、絶対に敵わないと思っていた狼の群れや、大猪の姿もあった。
歯噛みする。
何をしていたのかは、訊く必要がない。
何をしてもらったのかは、訊くまでもない。
報いなければならない。強く心で誓った。
善悪の天秤が揺れています。
―復讐(?)対象が決定されました―
カチリと聞き覚えのある音がする。
―復讐(?)期限まで、あと48時間です―
―対象の生命力により訂正。復讐(?)まであと1時間です―
カチリ、カチリと音が続く。
わからない。わからないことが多いなりに、察することもある。
考えた。わからないことは多いが、やるべきことは明確だ。
スキル《思考加速LV1》を獲得した!
昨日一昨日と早朝に聞いた、小鳥の鳴き声が聞こえる。今は朝。
鬱蒼とした木々の隙間から、朝日の方向を確認する。
相棒に牙を突き立てないよう、呑み込んでしまわないように口に含む。
――復讐(?)を開始します――
《身体操作》《瞬発LV5》
《突進LV8》
朝日に向かって左側――、北へと全力で飛んだ。
《身体操作》《瞬発LV5》
《突進LV8》《察知LV2》《解析LV5》
相棒がゴブリンを殺した瞬間にも、俺がレベルアップしたことがあった。
なら逆もあるはずだ。俺が殺すことで、相棒にも経験値が入る。
《身体操作》《瞬発LV5》
《突進LV8》《察知LV2》《解析LV5》
相棒のレベルアップに、どれだけ経験値が必要かわからない。
ならば、可能な限り速やかに大量の経験値を稼げる場所。経験値が高い敵。かつ、進化した俺が、一人ですぐに倒せる可能性がある敵。
《身体操作》《瞬発LV5》
《突進LV8》《察知LV2》《解析LV5》
ゴブリンしか思いつかなかった。
今ならば、昨日より短時間で殺せる確信がある。
《身体操作》《瞬発LV5》
《突進LV8》《察知LV2》《解析LV5》
《グリーンゴブリンLV5》《グリーンゴブリンLV5》《グリーンゴブリンLV5》
見つけた。
着地する。相棒を吐き出す。
《突進LV8》《瞬発LV5》《噛み砕くLV1》
《三角蹴り》《噛み千切るLV5》
予想通り瞬殺できた。食う暇はない。口の中の死体の一部だけそのまま呑む。
また相棒を口に含む。
《身体操作》《瞬発LV5》
《突進LV8》《察知LV3》《解析LV5》
《グリーンゴブリンLV5》《グリーンゴブリンLV6》
相棒を吐き出す。
《突進LV8》《瞬発LV5》《噛み砕くLV1》
《三角蹴り》《噛み千切るLV5》
相棒を口に含む。
繰り返す。
《身体操作》《瞬発LV5》
《突進LV8》《察知LV3》《解析LV5》
《グリーンゴブリンLV5》《グリーンゴブリンLV6》
相棒を吐き出す。
《突進LV8》《瞬発LV5》《噛み砕くLV1》
《三角蹴り》《噛み千切るLV5》
相棒を口に含む。
繰り返す。
《身体操作》《瞬発LV5》
《突進LV8》《察知LV3》《解析LV5》
いない。いないならまた探す。
《身体操作》《瞬発LV5》
《突進LV8》《察知LV3》《解析LV5》
《グリーンゴブリンLV7》《グリーンゴブリンLV8》
相棒を吐き出す。
《突進LV8》《瞬発LV5》《噛み砕くLV2》
《三角蹴り》《噛み千切るLV5》
相棒を口に含む。
繰り返し、繰り返す。
《身体操作》《瞬発LV5》
《突進LV8》《察知LV3》《解析LV5》
《身体操作》《瞬発LV5》
《突進LV8》《察知LV3》《解析LV5》
《グリーンゴブリンLV9》《グリーンゴブリンLV8》
《突進LV8》《瞬発LV5》《噛み砕くLV2》
《三角蹴り》《噛み千切るLV5》
もう、天の声も聞いている余裕がない。何かを言っているが、判断する余裕はない。
聞こえるのはゴブリンの断末魔と、相棒の息遣いだけだった。
《身体操作》《瞬発LV6》
《突進LV9》《察知LV4》《解析LV6》
《ゴブリンエリートLV2》《グリーンゴブリンLV8》《グリーンゴブリンLV9》
《突進LV9》《瞬発LV6》《噛み砕くLV3》
《三角蹴り》《噛み千切るLV5》
また相棒を口に含もうとした時、変化に気づいた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます