『怪奇くも男』
「ばかものめが!!そんなざまにされて、よくおめおめとかえってこれたものだ!!役たたずめっ。きさまはすぐに処刑だ!!」(愛蔵版・77頁)
とは、ショッカー総統(だと思われる)の台詞である。閣下に「役たたず」呼ばわりされているのは、仮面ライダーに敗れ、崖下に転落したくも男である。ライダー、初戦の相手であり、本郷猛の恩人、緑川博士を殺害したとんでもない奴である。
幸運にも、同僚怪人(うつぼ男)に救われ、命からがら、アジトに帰り着いたくも男を待っていたのは、閣下の罵倒であった。せっかく生きて戻れたのに、斬首されてはたまらない。くも男は助命を懇願する。彼も必死だ。
「ボ、ボス!お、お慈悲を……!!もう一度だけチャンスを!!お、お願いですっ。このままでは死んでも死にきれません!」(同頁)
くも男の言葉に動かされたのか、あるいは、初めから殺すつもりなどなかったのか、閣下はくも男の要望をあっさり認めるのであった。冷酷非情に見えて、案外度量の大きい人物なのかも知れない。因みに、ボスの出演は「声のみ」であり、その姿を読者に現すことはついになかった。
くも男は第1話に続いて、第2話にも登場している。まさに「仮面ライダーの好敵手」と云いたくなるのだが、どういうわけか、自ら命を絶ってしまうのだった。理由はわからない。ライダーにトドメを刺されるぐらいなら、自殺した方がマシだと考えたのだろうか?
ボスに命乞いをしてまで、再戦を望んでいた割には、諦めが早過ぎるような気もする。まあ、頁数の都合ということもあったのだろうけど……。
江川(達也)版『仮面ライダー』と云える『ラストマン』には、くも男ならぬ「クモ女」が登場する。やはり、組織が放った第一の刺客として。これは、江川先生がライダーに捧げたオマージュだと考えていい。〔12月22日〕
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます