第二章 楽しい学院生活

第10話 女子会加入

 入学試験・結果。


 1位 ニル・アドミラリ オールラウンダー 300点

 2位 フォンゼル・エルベアト・ポレーレン ロード 284点

 3位 リリー・ファン・シェインデル ハイプリーステス 280点

 4位 クーデリカ・コールバリ オラウ 266点

 5位 セラフィン・モンロイ ルーンナイト 264点


 8位 ドロシー・ムルトマー ハイメイジ 230点


 10位 セレナーデ・アンダーウッド マジックアーチャー 213点


 13位 レオンティオス・キャルタンソン バーンナイト 185点


 16位 デスグラシア ダークロード 167点


 19位 バルト・コリント ウォリアー 157点

 20位 ステイフ・シーデーン ビーストテイマー 153点


 150点以上を合格とする。



「おおー、さすがに今回は1位だったかー」


 俺は掲示板に張り出された合格発表を見て、そうつぶやいた。


 さすがにあれだけやると、試験官達も俺を1位にせざるを得ないようだ。

 今までは、明らかに俺の方が上でも3位だったのだが。


「ん? デスグラシアも前回より順位が上がっているな……そうか、武術試験の減点が少ないからか」


 本来であれば、あいつはセレナーデをさらに打ち付け、試験官達に取り押さえられる。

 俺が止めた事で、減点の度合いが減ったのだ。


「結局20人全員合格か。ビリのステイフを陥れて、点数を下げてやったら合格ラインも下がるんだろうか……?」


 学院の裏側を暴いていくのは結構楽しい。

 まあ、これは試さなくても分かる。大貴族は100パーセント合格保証だ。



「うぐぐぐぐぐ……!」


 フォンゼルがギリギリと歯を噛み締めている。――いい表情だ。


 俺はこいつが嫌いだ。

 戦闘能力自体は高いが、自分の意見に賛同しない者は全員排除という思考の持ち主で、王としての器はない。

 こんな奴が次期国王かと思うと、背筋がぞっとする。


 まあ、こいつが国王でいられるのは、2年間だけなのだが。

 つまり、会食で現国王が殺され、こいつが王位につくという事だ。

 そして2年後、デスグラシアにあっさり殺される。



「ニル様、満点とはお見事です」


 リスイ聖王国第1王女リリー・ファン・シェインデルが俺に話しかけてきた。


「光栄です。聖王女殿下」


 リリーは卒業までこの呼び方となる。

 彼女は平民に対しても優しいが、だからといって馴れ馴れしい態度を許してくれる訳ではないのだ。


「ニル様、お話したい事があります。少々お時間よろしいでしょうか?」


 何だ? この展開は初めてだな。1位をとった事で何かが変わったか?


「もちろんです殿下」

「ではこちらへ――」


 俺はリリーの後ろに続き、学院内のロビーに向かう。


「お待たせしました皆様」

「お、来た来たー!」


 ロビーの端ではクーデリカとセレナーデ、侯爵令嬢のドロシー・ムルトマーがソファーに座っていた。

 胸が小さいのに露出度の高い服を着ており、短いスカートと、クルクルとしたピンク色の髪がチャームポイントである。

 彼女達全員、リリーの取り巻きだ。


 王族や貴族は、幼少の頃からパーティーや舞踏会で何度も顔を合わせるので、俺とデスグラシア以外は、全員顔見知りなのだ。


 俺とリリーはそれぞれ空いた席に、向かい合って座る。


 さて、どう来るか?


「ニル様。わたくし達は、お互いを高め合う事を目的とした会を作るつもりです」

「1人で勉強しても効率悪いよね? お互いが得意とする事を教え合えば、はかどるでしょー?」


 早速クーデリカが話に割って入って来た。彼女はいつも、こんな感じだ。


 勉強会をおこなうという事だろうか?

 そういったグループ活動は初めてだ。

 平民の俺は、王族や大貴族に軽々しく口を利く事ができないので、学院生活は基本1人だった。

 まあ、俺が訓練に集中する為、人付き合いを避けているせいもあったのだが。


 卒業式までに、最大限の能力値の強化を目指すのであれば、悪くない話だ。

 それに彼女達と繋がりを持てば、護衛官にも選出されやすくなるかもしれない。

 何故なら、リリーとクーデリカは王女として会食に参加するし、他の2人は護衛官に選ばれるからだ。


 そして、クーデリカとドロシーは、そこで命を落とす。


「それは素晴らしいお考えです。――私もそのグループに参加させていただけるという事なのでしょうか?」


 クーデリカ達は、リリーの顔を見る。


「それを判断する為、お話をうかがいたいのです」

「かしこまりました」


 なるほど。何かを試されるようだ。


「先日の第2試験で、魔王国王太子が非情にも降参したセレナーデを打ち付けました。その時、ニル様が魔族語で彼を制止したように見えたのですが?」

「はい、その通りです。私は魔族語を話す事ができますので」


 リリー達は、お互いに顔を見合わせる。


「……何故魔族語を? まさか魔族に親しみを感じておられるのでしょうか?」


 ここで返答を間違えてはいけない。

 リスイ聖王国は、魔族と最も激しい戦いを繰り広げた国で、魔族への嫌悪は非常に強い。それは当然リリーにも影響しているだろう。


「いえ。戦いに勝つには、まず敵を知らなくてはいけません。その為にはまず魔族の言語、文化、習慣を学ぶ必要があります」


 リリーは笑顔になり、大きくうんうんとうなずく。


「確かにその通りです! 高名な兵法家もそう仰られていました! ニル様のお考えは素晴らしいですね!」

「もったいなきお言葉です」


 クーデリカ達もうんうんとうなずく。

 どうやら成功のようだ。


「臭い物に蓋の心構えでは、勝てる戦も逃してしまう……皆さん、よく分かりましたね? では、ニル様に魔族語を教えていただく事にしましょう」

「はい! リリー様!」


 取り巻き達が一斉に返事をする。


「それではニル様、よろしくお願いします」


 リリーが頭を下げる。


「はい! こちらこそ、よろしくお願いいたします!」


 俺はリリーより深く頭を下げた。


 これはいい。対デスグラシアの仲間ができた。

 今の内から絆を深め、連携力を高めておけば、会食時にかなり有利に戦えるはずだ。


 特に、魔族が苦手とする神聖魔法のスペシャリストであるリリーと、歌で能力値を上昇させてくれるクーデリカの存在は大きい。


「うふふ、では早速皆さんでお食事をしましょう。もう学食を利用できますので」

「いいねー! 私、お腹ペコペコー!」


 こうして俺は、リリー率いる女子会に所属する事になった。


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女子会おっぱいバトル


1位:クーデリカ第2公女 Fカップ なお、オラフとは詩人の最高位。

2位:セレナーデ侯爵令嬢 Dカップ

3位:リリー第1聖王女  Cカップ

4位:ドロシー侯爵令嬢  Bカップ

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