ソラの回想




「どんなに狂おしい激情も、時間が経てば薄れて消える。」



 何気なく、ソラが呟いた。


 カツミがソラを見る。


「俺のマミヤへの想いも、いつかは薄れて消えるのかもな………」


 ロザリオを握る。強く握った。

 その手の血が止まり、白くなってしまうまで。


「あーあ。」


 そう言い、カツミはすくと立ったのを俯いていたソラは視界の端に見た。



「………アンドレの激情は、"傷"だった。」



「え?」

 ソラは思わず顔を上げた。その目にカツミの背中が映った。


「"傷"はいつか治る。

 それこそ、あいつには癒しがあった。

 傷跡は残っても痛みは消えて、思い出になる。」


「…………………」


「ソラ。」


 カツミが歩き出し、ソラはその背を見つめた。


「お前の激情はなんだ?」


 ソラは立ち上がると、その尻を手で払った。


(言われてみれば、考えるまでもない。)









「"約束"だよ。」

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