第25話
少しして
「橙李、足どうしたの?古傷って?」
「あーダサい話なんだけど、階段から子供が落ちそうなの助けようとして一緒に落ちて右膝やっちゃったんっすよね、ホントダサい、もう治ってはいるんですけど、今日ちょぅとテンションあがっちゃって無理したらこれだよ。……あーダサっ」
「…そうか?」
「…え?」
「その子供もしかしたら命に関わったかもしれない、それを躊躇なく助けた橙李はかっこいいよ。少なくとも私はそう思う。」
「…それならいいんだけどね。」
「いいよ、私の前でカッコつけなくて」
「…」
「泣きたい時は泣きな、弱音吐いてもいいから、今私だけだし」
「…」
「どうせカッコつけで優しいから、皆んなに平気なフリして気にすんなみたいな態度とってんでしょ?…少し前の私もそうだったから、息詰まるよね?苦しいよね?辛いよね?
なんかしてあげれる訳じゃ無いけど、隣で話くらいは聞いてあげるから」
「…ッッ」
「ほら、前に橙李が私の変化に気づいてくれて、私は橙李のお陰で楽になった。その分橙李の悩み背負わせてよ」
「……ッホン…トは…まだ…」
「うん」
「…バスケ…したか…だ」
「うん」
「…まだ…裕也と沢山…したかった。…リハビリしても
もう…前みたいには…出来なくて、…誰も悪くないから…誰にもあたれなくてッッ…助けた事に後悔はしてない。…ただ他の趣味とは違って本気でやってたから…皆んなも心配してくれたり、されると辛いから、」
「気つかわれすぎるのもつかれるよね」
「バイクも1人になりたい時、遠くにいけるから」
「そっか…」
「でも、…今日で本気で裕也とバスケ出来るの最後だったから、全力でやって悔い残さないようにって、香澄にお願いして、動画とってもらって妹にも見せれるから後悔はないかな。今日サイコーに楽しかった」
「そっか」
「だから、もう大丈夫。」
「…ねぇ、橙李」
「ん??」
「…お疲れ様、よく頑張ったね」
「ッッゥ!!…」
「また私にもバスケの動画みしてね」
「…ゥッ…ッッ…ゥ」
それから病院までの少しの間は無言だった。
ただ、結月さんの『お疲れ様、よく頑張った』が凄く心に響いて暖かい気持ちになれた。
結果から、足は問題は無かった。ただ1週間の激しい運動の禁止と、明日の朝念のため再度軽い検査を言い渡された。
ちなみに説教の方が診察、治療時間より長かった。
帰りの車の中で
「橙李明日どうすんの?」
「明日は朝1番で診察してもらえる様、帰りに予約したから診察してもらったから学校かな、明日林間学校の買い出しとかあるから、帰りは香澄達と帰るけど」
「んーそっか。」
「でも今日母親出張でいないからちょっと面倒かも」
「どして?バイクは?」
「んーまだ今の足の状態で乗るのは危ないし、明日の朝どんな感じかわからないしね。それに妹のご飯とかもあるし」
「…なら私泊まろうか?」
「ッッハアァァッッ!?」
「いや驚きすぎ、別にただ泊まるだけならよくない??着替えも取りに行けばいいし」
「いやいや…」
「…ただ色々あって辛かったり沈んだりしないか心配で、…私で良ければ隣にいてあげようかなって思ったのに」
「いや、でも…」
「あれあれどうしたのかなぁ?」
「瑞希さんは?」
「夜まで仕事だよ?タクシーで帰らせればいいし!何時も迷惑してるのはコッチ!!」
「いや、色々と…」
「あれぇ?もしかして何か期待してた?」
「ッッしてません!!」
「プフッ 可愛いなぁ、自意識過剰くんかな?」
「いや、それ三女の奴!! そして1番好きなシーン!!」
「6つ子ジョーク!!」
「いや双子!!しかも長女!! まぁ性格は次女〜四女まで足した感じだけど」
「ん??」
「いや、女王様っぽくて、ツンデレ、たまに自信ないし根暗っぽいけど一途にひたむき、自分の幸せより他人の幸せを優先する所かな?」
「女王様じゃないし!」
「あ、姉様か!!」
「ハッ!!」
「いや本家顔負けするレベル!!」
「…冗談はさておき元気になったね。何時もの橙李だ。よかった。」
「…ありがとう」
「と言う事で泊まるよ!ご飯の材料とかある??」
「はい、それは問題ないです。今日お好み焼き予定で買ってあるんで」
「いいねぇ、なら着替えとか取りに行くか! あと瑞希に電話しとくよ!」
といい結月の家にむかった。
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