2022年

エピソード48 人生のプレイヤーたれ

「そっか、『吉羅よしら大』志望なんだ」

「うん。桜ちゃんは?」

「私もそうしようかな」

「え、賢いんだしもっと上の大学にしなよ」

「そんなこと…………」

「絶対大丈夫だって。って言っても、僕自身、受かる保障はないけど、はは」

「ううん、心配することないよ。きっと上手くいくから。ちなみにどうして吉羅大なの?」


 *******


「びっくりだね~まさか二人して『春ケ丘』に受かるなんて」

「これも桜ちゃんのおかげだよ。もし勉強つきあってくれなかったら、浪人確定だったわ」

「でも『自宅から遠くない』『歴史学部』で『私立』の大学ってのは、もともと君の志望理由なんだし、おまけに有名なのは春ケ丘の方なんだから、不謹慎かもだけど、吉羅大学の不祥事のおかげなのかもね」

「はは、たしかにそうかも」


 吉羅大学の教授3名が、女子高生を売春しようとしていた疑いがあると、一部の週刊誌が記事にし、やがて世間を騒がすに至った事件。そして第三者委員会が設置されたり、世間の動きもあって警察が捜査を始めた結果、売春だけでなく大学事務局による脱税も発覚。

 吉羅大学は今年度の生徒受け入れを一時見送り、教授や事務局の更迭などを検討せざるを得なくなったのだった。


「あのさ、もしよければ……付き合ってください!」

「それは勉強の話?」

「それもだけど、これからも桜ちゃんと一緒にいたいなって。ええと、その、好きです」

 耳を赤らめつつ、心配そうな目で返事を待ってる。

「いいの、私なんかで?」

「好きなんだ」

「私、にこだわりが強い方だけど」

「良いことだと思うし、僕も一緒に歩んでいきたいんだ」

 これで良かったんだ。

 時には遠回りかもって不安になったこともあったけど。

 でもきっと受験勉強中にこちらから告白していたら、大学入学頃には用済みかのように離心していたはず。

 彼から告白されなくては

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