ヤンデレあなたこなた「『fragile』はヤンデレソング?」

 ご無沙汰しております、綾波アヤナミ宗水シュウスイです。いつもヤンデレ短編物語をお読みいただきありがとうございます。


 さて、今回は久々に「ヤンデレあなたこなた」という、評論よりも軽い内容のいわばエッセイ的ヤンデレ考察を行っていこうかと思います。


 そして今回の内容は、「Every Little Thingの名曲『fragile』の歌詞は、ヤンデレ的なのでは!?」という前回までとはまた一風異なる目線で考察していこうかと思います。


 さて、この曲は世代でなくとも、一度はどこかで聞いたことのある曲の一つではないかと思います。その曲自体の感想は、視点をぼやけされるので、早速、歌詞を振り返っていきましょう。



「いつもそう 単純で クダラナイことがきっかけで

 傷つけてしまうよね 途切れてく会話 虚しいよ」


 最初のこの時点では、なるほどそこまでヤンデレチックではなく、ごくごくありふれた感慨かと思います。


「言葉が不器用すぎて 邪魔ばかりする

 好きなのに伝わらない こんな想い切なくて」


 ヤンデレを愛好なさる方々であれば、ここ辺りから既にハイライトの消えたヤンデレさんの顔もちらつきますよね。ヤンデレはその愛を伝えることにためらいはありません。それでも、しっかりそのまま伝わるか、と言えばそうではない。


「『いとおしい』だなんて 言い慣れてないケド

 今なら言えるよ 君のために

 となりで笑って いてくれるのならば

 これ以上他に何も要らないよ」


 さて、ここではどうでしょう。確かに最初の二行は、『ヤンデレだと愛おしいくらいい言い慣れてそう』という反駁はんばくの余地はあります。しかし、その次に続く、下二行は、価値の置くところにヤンデレ性を彷彿とさせませんでしょうか。

 こちら側の視点、すなわち私がヤンデレだと感じている視点にもたらされるのは笑顔だけです。

 それにもかかわらず、それ以上他に何もいらないと言ってみせます。ここであえて注意したいのは、こちらが求めているのは『愛』ではない、ということです。



 ※今回はこういった内容です(笑)



「出逢えたことから全ては始まった

 傷つけあう日もあるけれども

『いっしょにいたい』とそう思えることが

 まだ知らない明日へと つながってゆくよ」


 はい。ここではもう、その想う人の存在を改めて確立させることで、新たな世界が訪れることが示唆されています。

 これはヤンデレ特有の「二人だけの世界」といった性質にも近いと言えるのでは。その相手なくして、こちらに新たな世界像を得る術はないのです。

 そしてここでも歌詞は「出逢った時から」ではなくあえて「出逢えたことから」すべてが始まったとしているのです。

 つまるところ、関係性のバランスが非常に相手に重きが置かれている部分に、メンヘラなどではなく、ヤンデレなのでは、と勘ぐらせるのです。



「精一杯背伸びして 平然を装っていたけど

 余裕などないくせに また笑顔つくってしまった」


 二番です。やはり一番の冒頭よろしく、やや最初はヤンデレ要素薄めですね。そういった余白さがあればこそ、大ヒットするような没入性があるのかもしれません。


 「会えない夜はきまって 淋しさおそう

 好きだから不安になる こんな想い悲しくて」


 ヤンデレでしょう?ヤンデレですよね。


「『守ってあげる』とあの時言ったこと

 ためらう気持ちも嘘じゃないよ

 それでも信じてゆこうとする想い

 コワレテしまわぬように抱きしめていたい」


 うわぁーヤンデレです!ヤンデレ表現の一つに言葉をカタカナにする、という手法もありますが「コワレテ」などはその一種なのでしょうか。


「こんなにこんなに君を好きになって

 本当に本当にウレシイから

 たとえばこの先くじけてしまっても

 にぎりしめたその手をもう離さない」


 もはや言わずもがな、ですよね。「こんなにこんなに」「本当に本当に」です。


「出逢えたことから全ては始まった

 傷つけあう日もあるけれども

『いっしょにいたい』とそう思えることが

 まだ知らない明日へと つながってゆくよ」


 一番のラストに続き二度目です。強調されています。この部分が、全体の世界観を



 いかがだったでしょうか。ELTの名曲「fragile」の隠された一面。

 そもそも、fragileという単語の意味は「壊れやすい、もろい、虚弱な、かよわい、はかない」などです。


 もっと言ってしまえば、この曲はフジテレビ系列「あいのり」の主題歌ともある年齢層の方々には記憶されているのではないでしょうか。

 その「相乗り」という言葉も考え直せば、

 ①本来は別々に利用する人たちが、一つの乗り物に同乗すること。「タクシーの―」

 ②他で進めている事業に加わること。また、共同で行うこと。「―広告」

 ③国政で対立する与野党が、地方の首長選挙などで同じ候補者を支持すること。

 と言う風に、いわば相席以上の意味合いが内包されています。



 そもそも、メンヘラは独りでも成立しますが、ヤンデレは意中の相手が存在してこそ、成り立つ属性ということ、儚いキャラクター性ということを思い出してください。

 つまり、恋に恋することができても、世にヤンデレがヤンデレたらんとするにはこの歌詞のような相手があって、初めて実存と言えるのです。

 それ故に、「会えない夜はきまって 淋しさおそう 好きだから不安になる こんな想い悲しくて」と言う風に、自分というものが未確定に陥ってしまうのです。


 このように、年がら年中、ヤンデレを創作し、論評する私のような人々は、およそ一切に結び付けることができるのです………。

 それがやや理論だっていれば個別の評論として投稿し、突拍子がなければ「ヤンデレあなたこなた」行きに(笑)


 どうぞ次回もお読みいただければ幸いです。また、何かこのようにヤンデレ性を見出した、ヤンデレと関係のないものがございましたら、どうぞお教えください!

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