第17話

 流石に、あのまま居酒屋に居座り続けることは出来ず、一番近くであった俺の家に皆で行く事になった。


 「・・・お風呂借りるから」


 「あぁ」


 まさか、元カノが俺の家の風呂に入るとは思ってもいなかった。

 

 「それで、橋本さんはなんで、居酒屋にいたの?」


 「えっと。偶然ですよ」


 橋本さんの言い分は、偶然、居酒屋で飲んでいたら、俺たちの会話を聞いて、百合の態度にプチンっと来てしまったのだとか。


 「迷惑かけて、すいません」

 

 俺に頭を下げて、謝る橋本さん。


 「めっちゃいい子じゃん。いい奥さんと結婚出来てよかったな」


 「お、奥さんだなんて。そんなぁ~」


 坂守の言葉を聞き、橋本さん頬を赤くしている。


 

 「・・・ありがとう」

 

 少ししたら、百合がお風呂から上がって来て、お礼を言った。


 「ちょっと、なんでその服着てるんですか!」


 橋本さんが、お風呂から出て来た、百合を見て怒る。


 「だって、服が酒臭くて切れないから、仕方なくお風呂場の前にあったこの服を借りたの」


 「先輩が服を貸してあげるって言ったんだですか?」


 百合が今着ている服をいつも風呂上りに俺が着ている寝巻だ。

 ちなみに貸すなど、一言も言っていない。


 「言われてないけど。仕方ないじゃない」


 「なら、少し待ってて下さい」


 橋本さんは家をを飛び出して、五分も経たないうちに、自分の家から自分の服を持ってきた。

 どうやら、橋本さんの家はかなり近くにあるみたいだ。


 「はい、これ。私の服、上げるので脱いで下さい」


 「嫌だ。ダサい」


 「はぃぃぃ?!」


 橋本さんが持って来た服は、普段着で、俺の寝巻に比べれば、おしゃれな方なのに。

 拒絶された橋本さんはかなりショックな顔をしていた。

 

 「もうその寝巻は百合にあげるから。とりあえず、帰ってくれないか」


 時刻は夜遅く。

 このまま俺の家に居座り続けられると、終電がなくなってしまう。

 そうなると、俺の家に泊まるなど、言われかねない。


 「今日は茂の家に泊まるから」

 

 ほら、言ってきた。


 「駄目です!後、先輩のパジャマは私が―」


 「じゃあ、お先~」


 勝手な事を言い出す百合に、百合と喧嘩する橋本さん。更には、この修羅場な状態をおいて帰ろうとする坂守。

 本当、勘弁してほしい。


 結局、俺が百合を駅まで送ることで、泊まりを阻止することができた。

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