第13話

 「だが、このどこの馬の骨か分からない男に娘は任せる事は出来ないんだ」


 ビビりながら、そう言う忠邦さんの姿はまさしく、親としての意見だ。 


 「・・・そうだ。忠邦さんの言う通りだ。やっぱり、まずは友達から始めよう」


 「嫌です。せっかく、先輩と一緒に暮らせるのに」

 

 あからさまに不機嫌な顔で、俺の提案を拒否する橋本さん。

 

 「もう二度と会わないとか、そういうのじゃない。それに、もし、このまま本当に結婚しても、今の俺は無職でコンビニバイトで生計を立っているフリーター。橋本さんとは釣り合わない―—」


 「そ、それなら、私が働いて、先輩を養うから」


 俺が話している途中で、橋本さんがとんでもない事を言い出した。

 何故、そこまで、俺の事が好きなのか。

 そんな疑問があるが、それでも、一人の女性がここまで言ってくれたのだ。

 俺は覚悟を決めた。


 「そうな事されても、俺は嬉しくない。俺がちゃんと就職して、安定した生活が出来るようになって橋本さんに釣り合う男になったら、橋本さんに告白する。それでどうだ?」


 「・・・本当に?」


 「あぁ」


 「分かった。それなら、いい」


 こうして、俺は橋本さんに告白する為、再就職を決意した。

 だが、この事が原因で橋本さんのストーカー行為が、更にひどくなるなんて、橋本さんがストーカーを行っていることに気づいていない俺には、知るよしもなかった。


 「えっと・・・私、何も言っていないんだが・・・」


 そして、忠邦さんは話についていけないでいた。

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