第252話 嫌な予感
ステラさんが飛び立った後、私が眉を寄せて考え込んでいると、
「カリナさん、そんな難しい顔してどうしたんですか?」
それが気になったのか、セリカさんが話し掛けて来た。
「セリカさん、前に戦ったダンジョン10階層目のフロアボスを覚えていますか?」
「えぇ、もちろんです。あの巨大モグラですよね?」
「そうです。ねぇ、セリカさん。私ね、今回の相手が地竜だって聞いた時、真っ先に頭に思い浮かんだのがそれだったんですよ」
「あぁ、確かに...同じようなイメージはありますよね」
「でしょう? それでね、こうも思ったりしたんです。もしかしたら地竜ってのは巨大モグラの上位互換なんじゃなかろうかと」
「えっ!? か、カリナさん...そ、それってもしかして...」
どうやらセリカさんも事の重大さに気付いたらしい。途端に顔色が真っ青になった。
「なんの話をしてるんですか?」
そこへアスカさんも加わった。
「アスカさんはダンジョンに潜った経験はお有りなんですよね?」
「えっ!? どうしたんですか急に!? えぇ、もちろん有りますが」
「10階層目のフロアボスと戦った経験はお有りですか?」
「あぁ、あの巨大モグラですよね? いえ、私はまだ戦ったことは有りません。話に聞いたことは有りますが」
「私達は戦ったことが有るんですよ」
「本当ですか!? 凄いですね! レイドに参加するだなんて度胸有りますね!」
あぁ、やっぱりそう思われちゃうよね。本来、単独のパーティーで戦うような相手じゃないって話だったもんね。
複数のパーティーが組んで戦うレイドに参加したんだって、そうアスカさんが思うのも当然か。
「いえ、レイドに参加したんじゃなくて私達だけで倒しました」
「はっ!? い、今なんて!?」
「ですから、私とステラさんとセリカさんの三人で倒しました」
「...マジで!?」
「マジです...」
「マ・ジ・で!?」
「マ・ジ・で・す」
あ、このやり取りなんか久し振り。
「どどどどうやって倒したっていうんですかぁ~!?」
アスカさんが凄いビックリしている。まぁ無理もないか。正確には私達が倒したっていうより巨大モグラの自滅だったからね。
そこら辺の状況を掻い摘んでアスカさんに説明した。
「そんな方法が...」
アスカさんは絶句してしまった。
「まぁ、私の空間魔法がたまたま運良く効いたお陰なんですけどね」
実際、セリカさんの空間魔法は使えなくなっていたからね。本当に運が良かったってことと、相手が巨大モグラだったってこと。一重にそれに尽きるね。
「いやそれでも凄いことですよ...単独のパーティーでフロアボスを倒しちゃうなんて...」
アスカさんがしみじみそう語っていた時だった。
「クエッ! クエッ!」
偵察に出ていたステラさんが慌てた様子で戻って来た。
嫌な予感しかしない...
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