第251話 戦いの前

 しばらくするとウチのパーティーメンバー達が駆け付けて来た。


「どうも皆さん」


「ご苦労、カリナ。急な話で大変だったな」


「今はどんな状況なんですか?」


「この場所を最終防衛ラインにするそうで、木を切り倒してバリケードを作ってるところですね。私じゃあ力になれないんで見守っているところです」


「なるほど。じゃあ私が手伝って来るとしよう」


 そう言ってラウムさんはバスターソードを抜きながら、他の冒険者達が木を切り倒している作業場所に向かって行った。ラウムさんなら力になれそうだね。


「ところでステラさんは?」


「ここです。今まで着替えてました」


 すると物陰からステラさんが現れた。これで全員揃ったことになる。


「ちなみに私、竜と相対するの初めてなんですが、当然ながらやっぱり強いんでしょうね?」


「私もありません」


「私もです」


 ステラさんとセリカさんは即答した。


「私は以前、地竜ではなく火竜の討伐に参加したことがあります」


 さすがはアスカさん。竜と戦った経験まであるんだね。


「その時はどうでした?」


「あの時の私はまだ駆け出しの冒険者でしたから、後ろの方でベテラン冒険者達の戦いを見ているだけでした。ただかなり後ろの方に居ても、あの時の火竜が発する熱は伝わって来る程でした」


「それで結局どうなったんですか?」


「冒険者側にかなりの犠牲者を出しましたが、なんとか討伐に成功しました。あの時も王宮の騎士団と合同で戦ってましたけど、騎士団の方にもかなりの犠牲者が出たはずですよ」


「そうなんですね」


 そんな話をしている時だった。蹄の音を響かせながら王宮の騎士団が到着した。


「冒険者諸君、ご苦労! 我々は王都親衛隊第一連隊の者だ!」


「おう! 俺はこの現場を任されている冒険者のアレックスだ!」


「我はグレン。第一連隊の隊長を務めている。よろしく頼む。状況を報告してくれ」


「地竜は真っ直ぐ王都を目指して来やがるって話だ。だからここでぶっ潰す! このバリケードから先には通さねぇ! 今はそのバリケードを作ってる最中だ。あんたらも手伝ってくれねぇか?」


「承知した。おい、お前達! バリケード作りに協力しろ!」


『ラジャー!』


 こうして冒険者と騎士団合同でのバリケード作りが始まった。だが相変わらず私達には手伝えることがないので、それなら別の形で貢献してみようと思った。それは相手が地竜だと聞いた時からちょっと気になっていることだったりもする。


「ステラさん、せっかく服を着たところ申し訳ないんですが、もう一度飛んで貰えませんか? 今現在の地竜の位置を正確に知りたいんです」


「なるほど。了解しました」

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