第218話 お引っ越し
「お待たせ致しました。ではご案内致しますのでこちらにどうぞ」
私達は担当の男の人の案内で馬車に乗り物件を見に行った。そこは王都のメインストリートに程近い閑静な住宅地だった。
「こちらにになります」
説明を受けた通り、物件は瀟洒な佇まいを醸し出す二階建ての建物だった。小さな庭まで付いている。私達は顔を見合わせた。第一印象では全員気に入ったようだ。
中に入って見る。一階にはリビング、キッチン、バス、トイレが完備されていてる。部屋は三部屋。どれもそこそこの広さがあってゆったり寛げそうだ。
二階にも三部屋。こちらは日当たりが良さそうだ。
「南はどっちになります?」
「こちらにになります」
担当者は用意のいいことに方位磁石を持っていた。恐らくだが良く客から聞かれることなので、予め用意しておいたのだろう。プロの仕事というものを見たような気がした。
みんな思い思いに部屋の中を見て回っている。程無くして全員がリビングに集まった。私の中では既に結論は出ている。
「皆さん、如何でしたか?」
「私は満足しました」
「私もです」
「私は...ちょっと圧倒されていたな...あまりにも快適な家なので...」
どうやら全員気に入ったようだ。私は担当者に向き直って、
「ここに決めます」
「お買い上げありがとうございます。では早速こちらの書類にサインをお願い致します。お支払いは一括になさいますか? 分割になさいますか?」
「一括でお願いします。ヨイショっと!」
私は亜空間からパンパンに詰まった金貨袋を引っ張り出した。担当者とラウムさんが目を丸くする。
「か、畏まりました...数えますので少々お待ちを...」
担当者が金貨を数えてる間、私はみんなに向かって、
「では早速引っ越したいと思います。まずはステラさん、一番先に部屋を選んで貰えますか?」
「えっ!? 私でいいんですか!?」
「はい、ステラさんにはアスカさんの元へ新しい住所を教えに飛んで行って貰いたいので。引っ越しはステラさんの分まで私達がやっておきますから」
「あぁ、なるほど。分かりました」
「セリカさんはラウムさんの家に一緒に行って、荷物を収納して来て貰えますか?」
「任せて下さい!」
「よ、よろしく頼む...」
早速ステラさんは一階と二階の部屋を物色した後、
「私は二階の端の部屋にしたいと思います」
「分かりました。ではアスカさんへの連絡をお願いします」
「了解しました」
ステラさんが出て行った後、担当者が金貨を数え終わった。
「確かに頂戴致しました。お買い上げありがとうございました。こちらがこの家の鍵になります。お持ち下さい」
「分かりました。では戻りましょうか」
帰りは馬車を私達のパーティーホームに回して貰った。
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